第11話


 

 それは、まるで夕方に見る小鳥の群れのようだった。

 黒い雲のようなそれは遠い地平線を隠さんばかりに広がり、有機的に形を変え続けるその雲はしかし目を凝らせば一つ一つが小さな点であることが分かる。

 違うとすれば、その点一つ一つが愛らしい小鳥ではなく、硬い鱗と爪を備えた全長十メートルを超える空飛ぶ厄災であるという事。

「まじかよ」

 夕方からの任務のため、既に弾薬と燃料の補給が済ませてあったレンツ戦闘飛行隊。そのユナたちは、飛行場防空部隊の第一陣として既に空に上がっていた。

 眼下の飛行場では補給のために整備士たちが慌ただしく走り回り、もはや滑走路ですらない所から垂直離陸の出来る機体がひっきりなしに飛び立ってゆく。

「なにー、クルト。それはあの群れ?それともこの状況?」

「両方だろ」

 当然。上がっている機体はユナたちレンツ戦闘飛行隊だけではない。

 第十七航空団の他戦闘飛行隊に、防衛線から引き抜かれたどこかの局地防空飛行隊。

 そして、王立空軍の空対空戦力の主力たる戦闘艇にも限らない。

 王立空軍護衛艇、Jh120―A、ビーネ。同攻撃艇、Ah288―D、シュトルヒ。

 全体を小型化したうえでスラスタを廃しエンジンをターボプロップ、即ちプロペラに、武装も13ミリ連装機関銃塔二基に換装した、コスト最優先の戦闘艇の大幅ダウンスケール版。

 対地攻撃用の88ミリ砲二門を備えるものの、大量の下面パイロンでの爆撃に特化した機動性劣悪な大型対地攻撃機。

 竜種以外の軟飛行目標、或いは地上棲モンスター相手ならまだしも。

 いずれも竜種の群れ相手に戦闘をするような機体ではない。

 が、既に数個飛行隊分の護衛艇や攻撃艇が空に上がり、地上からも補給を済ませたそれらの機体が戦闘艇と共に次々と上がって来る。

 なりふり構っていられない。そういう、王立空軍らしからぬ状況を隠す気も無いのだろう。

 そして、五分か十分かにも感じられる時間だったが、恐らくは数分にも満たない。

 次第に、無数の点に過ぎなかったそれが、爬虫類じみた身体と巨大な飛膜の翼を備えた竜種のシルエットへと変わる。

「ねえユナ、これってあれと関係あるのかな」

 そう呟いたのはアンナ。ただ、他の隊員についても考え込むような空気が無線の向こう側から伝わってくる。

「……どうなんだろ」

 イレギュラーであることは間違いない。

 目算でも、敵の数は先日の光竜小型種の群れの何倍、下手したら十数倍。各所の激戦区に派遣されてきたユナたちでも、初めて目にするレベルだ。

 臨戦態勢で進軍した王立空軍。それが空で防衛線を突破されるという事態そのものが、事態の重大さを物語っている。恐らく、作戦司令部も想定していなかった規模の群れ。

 ただ、それが第28予備航空団の一件と関連があるという確証は何もない。

 そして、それがどうであろうと今は関係が無い。

 前進展開していた数個飛行隊が竜種の群れの戦闘と接触、炎や光線のブレスと砲声が交差し、そして誘爆する竜種の紅い花、被弾した半飛行船が四散する明るいオレンジの花が咲く。

 当然、その程度で押し寄せる津波のような群れは止まらない。

「光竜及び火竜の小型種を多数確認っ」

 叫ぶような通信と無線越しの爆発音が鼓膜を叩く。

 考えている時間は無い。無線を飛行隊内に変更。

「シエラリーダーより各位、敵味方の数が多いからたぶん乱戦になる」

 本来、スペックで劣る戦闘艇が竜種に対抗する術は戦術と数だ。組織的に高度な連携を取らない竜種を、人類は連携でもって一対多の状況に誘導し各個撃破する。なので、それが活かせない乱戦というのは圧倒的に人類が不利だ。

 ただ、今回は恐らくそうならざるを得ない。

 そもそも、本来共同で対空戦闘を行う想定ではない飛行隊が多数この狭い空域に存在している。他部隊との連携は期待するだけ無駄。

「目標は敵の殲滅ではなく、基地の防衛。だから、戦闘の継続を最優先に」

 付け加えてしまったのは、あの夜のノアのせいか。

「墜とすより、墜とされないで」

 普段なら問題になるかもしれないが、こんな時に無線を監視している暇人などいないだろう。

「シエラツーよりシエラリーダー。てことは、今回以外は墜とされてもいいから墜とせって事ですか、隊長」

「え、ユナそんな風に思ってたのー」

 普段より皆口数が不自然にが多い気がするのは、この事態にさすがに緊張しているのか。

「要するにいつも通りって事だろ」

「なにークルト、強がってんの」

「ああ悪いかっ。じゃあなんだ、お前はこの群れを見て平常心ってか」

「まあとにかく落ち着きなさいよ、貴方達」

 無駄口を叩いている間にも竜種の群れは接近する。

 レンツ戦闘飛行隊の前に展開していた第何かすら分からない局地防空飛行隊が安定翼を翻し降下。展開中の第一陣の下に入り込んだ竜種の群れへと飛び込む。

 続かない理由は無い。

 巡航モードから高機動モードへ切替え。無線を基地へ繋ぐ。

「レンツ戦闘飛行隊、エンゲージ」

 五機が糸でつないだような一糸乱れぬ動きでダイブ。

 既に交戦した飛行隊が竜種の注意をひいているところへ、定石通り降下の勢いをつけた一撃を加えてから格闘戦へと移る。

 ユナたちの後からも、続々と戦闘艇部隊が接敵。

 敵味方入り乱れての格闘戦は、最早どちらがどれだけいるのかの見当さえつかない。

 通常の作戦とは似ても似つかぬような、乱雑な空戦。辛うじて連携が取れているのは飛行隊内だけで、違う飛行隊の機体については連携出来ないどころかお互いに射線を遮ったり衝突しかけたりする機体が出る始末。

 ただ、かといって完全に統率が取れていないという訳ではない。

「アルファベースより全軍、攻撃隊が位置に着いた。射線上の隊は退避せよ」

 戦闘艇部隊が必死の抵抗で構築した交戦空域。その後方で高度を稼いでいた攻撃艇が、緩降下で速度をつけて交戦空域の上空、即ち竜種の群れの上方に接近。

「退避を確認。攻撃隊、砲撃を許可する」

 発砲煙、数秒の間。

 陸軍砲兵隊の射撃かと思うほどの砲声が空を震わせる。

 本来、硬い鱗や甲羅を持つ地上棲モンスターを想定した、攻撃艇機首の二門の88ミリ砲。

 それが、戦闘艇部隊がなんとか退避した後の竜種の群れに打ち下ろされる。

 想定される地上棲のモンスターを食い止めるべく配備された攻撃艇、その数は膨大だ。砲身長などの都合で王立地上軍の自走高射砲ほどの威力はないものの、音速の数倍で雨の如く打ち出された徹甲弾は小型種の鱗をいとも簡単に貫き、その炸薬が体内からその身体を引き裂く。

 暴発した個体が他の個体を巻き込み、幾重にも紅の花が咲く。

 ぽかりと、群れに空いた穴。

 が、それでも全体から見れば誤差の範疇。

 その穴から襲い掛かる戦闘艇部隊を飲み込むように、後続の竜種が穴を埋める。敵の頭数は減らしたはずだが、それでもやはり戦局を変えるには至らない。

 攻撃を終えた攻撃艇は長い装填時間故に連続しての砲撃は行えない。緩降下で稼いでいた速度を殺さずに離脱を図るが、しかしそこでもやはり対地攻撃という攻撃艇本来の設計思想が足を引っ張る。

 速度が強さと直結する空対空戦闘と違い、空対地攻撃では速度は要求されない。むしろ、不要ですらある。地上の、航空機から見ればほぼ静止目標にも等しい目標へ一度の攻撃でどれだけの火力を投射できるかというのは、即ちどれだけその上空に留まれるかという事に左右される。早ければ一瞬で通り過ぎてしまい、遅ければ長い時間にわたって砲爆撃を加えられる。

 なので、攻撃艇は「速度を出さない」よう設計されている。低速で浮揚ガスの浮力を補うに足る揚力を稼ぎ、そして降下しても低速を維持できるように空気抵抗も大きい。

 従って、逃げ切れない。

 降下を続ければ竜種の群れに突っ込むので、上昇に転じて離脱する攻撃艇。速度を次第に失うそれに下から襲い掛かるのは戦闘艇によって拘束されていない竜種の数々。

 撃ち上げられるブレスが断熱装甲を炙り、耐熱限界を超えた構造材に引火、火だるまになって落伍。或いは一条の光線が串刺しに貫き、弾薬庫に引火したのか後続機を巻き込んで爆発四散。中には直接爪や牙で切り裂かれ、浮揚ガスを喪失し墜落する機体もある。

 攻撃艇部隊に随伴していた護衛艇が迎撃すべく反転するが、それも囮以上の意味をなさない。エンジン換装によって速度を、スラスタ撤去によって機動性を捨てた護衛艇は、ブレスも爪も回避する事は出来ない。戦闘艇から受け継いだ非力な空力制御と垂直離陸用のリフトファンの併用で何とか射撃位置に着いた護衛艇も、その13ミリ機関銃では小型種の鱗を貫くことすら叶わず、大空に小さな花を咲かせるだけ。

「シエラリーダーより各位」

 なら、せめてその犠牲を無駄にしないのがユナたち戦闘艇乗りの責務だ。

「追撃するよ」

「了解っ」

 交戦中の個体をソルが腹から機関砲で撃破。そのまま襲い来る他の個体は付近にいた他の飛行隊へ任せ、攻撃隊を追った集団を追い、後方からの砲撃で叩き落す。

 それでひとまず、攻撃艇部隊は半分以上を残して離脱に成功。ただ、次同じ攻撃を行えばその効果は数に比例して減少するうえに、離脱時の被害は恐らく増加する。できて、あと二回。

「艦隊は来れないのかっ?艦隊が来れば、こんなのっ」

 誰かの、恐らくは第十七航空団以外の誰かの叫びが無線から聞こえる。

 艦隊の航空戦力の、つまりは第十七航空団の三分の一はここにいる、とは流石に言えなかった。待てば援軍が来る。そういう支えを失えば防衛線は瞬く間に瓦解すると、ユナたちは経験で知っている。機動防御を担当する、つまりはその支えだったのが第十七航空団なのだから。

 そしてその支えがあろうと無かろうと、終わりが見えない戦場というのは、負けが見えた戦場以上に心身を疲弊させる。いくら落としても落としても飛び交う竜種の数は減らず、火を引いて墜ちる味方機ばかり目に映る。

 戦闘艇の装弾数も決して多くは無い。そろそろ、残弾を切らす機体や飛行隊が出てくるころ。

 そう思って地上に目を向け、思わずひきつった声が出た。

「これ、基地、」

 竜種との戦闘に必死になるあまり、気づいていなかった。

 炎上するプレハブ小屋、穴の開いた滑走路、格納庫の脇で空に上がることなく黒煙を上げる戦闘艇。滑走路上で擱座した攻撃艇は、離陸滑走中にブレスが直撃したのか。滑走路の無事な部分から飛び立つ戦闘艇も、生命線たるスラスタ燃料の補給が出来ていない事は空力制御に頼り切ったその機動が示している。戦闘に上がるというよりかは、命からがら逃げだしたと言った方が正しいような様子。

「え、うそ」

 ユナの声につられて地上を見たのか。アンナの声が無線から漏れる。

 基本的に竜種が人類の航空機に攻撃を加える主な理由は、それが彼等の縄張り意識に引っかかるからだ。従って、地上施設はこちらから攻撃を加えない限り襲われることは無い、というのが定説だ。戦闘艇が発着する飛行場は「敵」認定される事が多いとは言え、攻撃を加えない限り優先されるのは空を飛ぶ航空機。なので、飛行場の対空砲も一切稼働はしていなかったはず。

 だが、ユナたちの飛ぶその下では違った。

 戦闘艇部隊が相手取っている数。それに迫るのではないかという数の竜種が、上空にいる王立空軍をまるで無視するかのように執拗に基地設備に攻撃を加える。

「ユナ、救援に」

「いや」

 無線越しにアンナを遮ったのは二番機のソル。

「それだとここの敵を低空に誘導する事になる。あっちはあっちに任せて、」

「今低空にいる機体だけじゃ無理だよ、あれ。全部スラスタが足りてない」

 淡々とそう言うイレーネに、クルトが続ける。

「ここの個体は俺らが相手する。低空に行かせたくないなら、俺らが食い止めればいい」

「おまえなあ、そうは言うが」

 ソルは呆れ気味にそう言うが、決断するのは隊長のユナだ。そして、戦場で迷いは禁物。

「シエラリーダーとシエラスリーは地上の援護に向かう。残りは現空域での戦闘を継続」

「了解」

 機体を翻し、アンナと共に降下。

 いつの間にか動き出していた共和国軍の残した対空砲。その必死の抵抗をものともせずに基地設備を一方的に襲う竜種を、上空から急襲する。

 不意を突いた一撃目は成功。ただ、それ以降は数の差もあり地上設備への攻撃を妨害するのが限界。燃料弾薬の補給に必要となる設備、それと地上要員のいる整備棟や司令棟の防衛を最優先に、低空にいた補給の足りない戦闘艇や護衛艇と共に群れの攪乱を繰り返す。

 そして、地上設備を使用するのは補給の終わってない離陸前の機体だけではない。

「エコーリーダー、エンジン損傷、戦闘継続不能。指揮をエコーツーに移譲し不時着する」

 無線から聞こえた声に上方を見ると、滑空するようにして降下する戦闘艇。火竜のブレスが掠ったのか片面が変色し、エンジンの排気口からは炎の混じった黒煙を吹いている。

 圧倒的に目を引く状態だが、竜種に追われていないのは運が良いとしか言いようがない。乱戦で、竜種の方もそれどころではないのか。

 すかさずユナたち含む数機がカバーに入り、低空の竜種がその機体に接近する事を許さない。

 エンジンから火を噴いた機体は無事に降着脚を展開、穴だらけの滑走路を避け誘導路だった場所にスラスタの逆噴射で垂直着陸。その降着脚でしっかりと地を掴む。

 それで、気が緩んだのかもしれない。

 キャノピーが解放され、中から茶髪の搭乗員が現れる。数日前、ユナに任務のカバーをした代わりに基地の購買部で一番高い酒を奢ってくれとふざけ気味に言っていた先輩格の飛行隊長。一応は顔見知りなので、ひとまず無事に不時着できたことにほっとして。

 直後、何かがユナの機体のすぐ脇を飛び去った。風圧で機体があおられるほどの至近。爪を受けたかと一瞬思うが、しかし機体に損傷はない。

 その飛び去った先へ視線をやり、目に入ったのは一目散に不時着した機体へ向かう火竜。

 考えるより先に操縦桿を叩きこみ、回頭。他の機体も旋回するが、スラスタが万全なユナの機体が一番早い。スロットルを全開にし、後を追う。

 が、それでも間に合わない。

 解放されたキャノピーから出て機体の上に立った茶髪の飛行隊長。

 照準は定まらない。一直線でそちらへ向かう火竜が、その顎を開く。ブレスの予備動作。

 回避は不能。エンジンが壊れた戦闘艇では動くことすらできない。

 ブレスが全てを焼き尽くすことを覚悟して。

 なので、その後起こった事をすぐには理解できなかった。

 抗うようなカービンの発砲煙。ブレスを放たず突っ込む火竜。ひしゃげる戦闘艇。飛び去り際に吹き飛ばされるその残骸。

 そして、消えた人影、宙を舞う棒のような何か。それが空間に引く赤黒い筋。

「食人種っ⁉」

 無線越しのアンナの声で、状況の理解が追い付く。

 食人種。本来は人を捕食しないモンスターで、しかし「人間の味」を覚えた個体。

 竜種にも稀に存在し、そのような個体は空を舞う航空機などには目もくれず人間を襲う。

 今、まるで兎を襲う猛禽のように、火竜が人を攫ったように。

「っアンナ」

「分かってる」

 知った人間が喰われた。何も思わない訳がない。

 ただ、戦場でその感情に付き合っている暇はない。

 食人種の離脱進路の近くにいたアンナがスラスタを吹かし旋回。火竜にすれ違いざまに砲撃を加える。

 食人種は種別分類を問わず、全軍共通の優先攻撃目標だ。より危険であるだけでなく、通常の個体と異なる行動傾向は作戦自体の脅威となる。

 他の機体も照準が定まり次第砲撃を加え、しかしその砲撃も飛び去る火竜の左前足を飛ばすに留まる。大きく羽ばたいて加速した食人種が群れの中へ消え、ユナは唇を噛み。

 ふと、何かが頭の中で繋がりかけた。

 執拗に地上設備を攻撃する集団。眼下に全く見えない人影。食人種。

 浮かんだ想像を、しかし小さく首を振って否定する。

 食人種の割合は多くて数%と言われる。いくら母数が多いとは言え、多すぎる。

 無駄な思考を頭から追い出し、戦闘に復帰。

「シエラリーダーよりエコー隊各位。エコーリーダー、ロスト」

 戦況は変わりなし。

 変わりなく、悪い方へとじわじわと傾いて行く。

 攻撃艇部隊は二度目の砲撃を敢行し、残存機は目算三割弱。攻撃艇部隊に随伴していた護衛艇は、まだ飛んでいるものを探す方が難しい。

 戦闘艇部隊は基地の指示で飛行隊ごとに交戦、補給、補給直衛に分けられ、順に燃料弾薬の補給を繰り返しつつ戦闘を継続するが、戦闘で撃墜される以外にも補給中に破壊される機体も続出。次第に全滅する飛行隊も出始め、副武装の20ミリ機関砲の弾薬も途中で尽きる。

 二つあった格納庫も、一つがブレスの直撃を受け炎上。攻撃艇用の対地爆弾や、攻撃艇・火力支援型戦闘艇兼用の88ミリ砲弾が誘爆。巨大な火柱が立ち、敵味方共に数頭、或いは数機が巻き込まれる。

 戦闘指揮を執っていた飛行場司令棟も、やがて墜落した竜種に押しつぶされ機能を喪失。

 指揮の不在により、何とか大枠では成り立っていた組織的戦闘も継続困難に。

 指揮権は規定通り最も階級の高かった第十七航空団の飛行隊長の一人に引き継がれたが、味方の位置も把握できない状態ではなんとか交代での弾薬補給を維持するのが限界。

 実質的に全機が各飛行隊長判断の個別戦闘へ移行する。

 残存する攻撃艇部隊も空戦に巻き込まれほぼ壊滅。

 戦闘艇部隊も一機、また一機と炎の尾を引いて墜ちてゆく。

 援軍は無かった。

 日が暮れ、昼行性である竜種が撤収するまで王立空軍は抗戦を続け。

 最も損耗率の低かった戦闘艇でも、その最終的な損耗率は四割に上った。

 

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