第5話 イコピンキンカキーヴ。

そう、つまり、まさに麻薬のようだ。


誰しもが


謎の施設で希望する


イコピンキンカキーヴという物質。


この、棒状のものを使うと、


自分がどんどん昔に遡っていき・・・


ついには命を落としてしまうのである。


死への近道。


俗世の苦楽から逃れたい老人たちは、


こぞってこの物質を使う。


看護師も、「気持ちよくなっちゃってください」


としか言わない・・・。


恐ろしい物質である。


しかし桜隠、死ねなかったのである。


どんどん大人から子供、赤ちゃん、それ以前まで遡ったのだが、


苦痛は終わることなく、


果てしなく続くようだ。


海の見える施設で、


自分の体が何体も、ベルトコンベアーに乗って


ぐるぐる運ばれていて


自分の選んだ肉体となり、


現実世界(コスモス)に戻るのであった。


その海の施設は、今でも鮮明に覚えている。


自分の家系図を標本にしたように、


亡くなった親戚が水中に吊るされている。


桜隠は母親の・・・


「これから凄いことが起きるの・・・」


という、虹色のループするらせん状システムが示すとおりに


蘇ったまま、死の世界を知る。


永遠のループで、父親と叔母が、


まるでお墓参りのように


桜隠の前で手を合わせる・・・


しかし、生き返るのだった・・・。


はてさて、どうしたものか。


続く・・・

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