episode.13
粗方、屋敷の片付けや修繕が終わった。
「つかよーマルフェナ? だっけか? あいつ金目の物はちゃっかり盗んでったんだな」
「こそ泥だね」
「まぁ、命があっただけ……良かったですわ」
あの日からミッシェルは気持ちが落ち込んでるようだ。
無理もないだろう。自分の屋敷が荒らされ、目の前であんな悲惨なことが起こったのだ。
「お二人は……これからどうしますの? よかったら……」
「俺達はここには残れねぇ」
「そうだね。マルフェナの足取りも追いたいし」
「そうですか……残念です」
「なぁ、嬢ちゃん。マルフェナに色々言われたと思うけどな。おらぁ、違うと思うぜ?」
「え?」
「だってよ? 嬢ちゃん。地下に死徒がいるのに父ちゃん、母ちゃんは普通に生活してたんだろ?」
「……はい」
「地下にいつ復活するかもわからねぇ死徒がいるのに普通に生活してたってことはだ。二人共死徒と戦ってたんじゃねぇのかな」
「そうかもしれないね。政府だって馬鹿じゃない。きちんと力もない人達にそんな資金を渡すはずがないよ」
「だから、その。あれだ。落ち込むなって! 嬢ちゃんは美人だし料理も美味いんだ! 最高の嫁さんになれるさ!」
「本当ですか!」
いきなりミッシェルの視線が自分に向いて戸惑うカルト。
「では! 私をお嫁にしてくださいまし!」
「おい! こいつお前から乗り換えたぞ!!」
「よかった。きちんと責任とりなよ」
「マジかよ! 重すぎる!」
「レッドキング様ぁ〜!!」
「何だその呼び名はっ!! おい! 逃げるぞ!!」
カルトはブームと一緒に走り出した。
「待ってくださいませ〜! レッドキング様〜!!」
後ろからミッシェルが全速力で追ってくる。
「くっそ! これだから女は苦手だ!」
「別れ際にカッコつけるからだよ」
「だってこれはお前! 必要だろ! 急いでトンズラするぞ!」
「はいよ」
二人は全力で走り車に飛び乗る。
「飛ばすぞ!」
「行こう!」
車は黒い煙を吐きながら走り出す。
「王子様〜レッドキング様〜ありがとうございました〜!」
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