cult&boom
episode.12
「さて、どうなりましたかね」
満月の夜。
マルフェナは一際高い丘の上に立っていた。
「結果は今夜中にわかるでしょう」
昨晩、ルイガンを復活させた後に二人がどうなったのか。
「喰ったか、喰われたか」
まぁ、最終的にあまり変わりはないか。
「おやっ……」
遠くから聞こえる汚いエンジン音。
「おやおや、どうやら……」
にこやかに手を振るマルフェナに減速しないまま走ってくる車は、そのままマルフェナに激突した。
「おいおいおい、手なんか振ってねぇで少しは避けろよ」
車から降りてきたのはカルトとブームであった。
二人共身体中傷だらけになっており、衣服も所々破れている。
カルトは頭を布で止血しており、布は真っ赤に染まっている。
「こっちゃあ今の今までルイガンとやりあってて疲れてんだ」
「きっと来てくれると思ってましたよ」
車に真正面から当たったはずのマルフェナは丘の上の月明かり前に浮いていた。
「さぁ! 俺達の事を教えやがれ!」
「……神はとても傲慢であられました」
「何の話だ?」
「三十一の死徒を生みだした時、その中に自分と同等の力を持った死徒を一体だけ作りました」
「それは何故だと思いますか?」
「わかんねぇ」
「……自分が戦いたいから?」
「エクセレントッ! そうです。神は暇を持て余していたのです! 人の為と言っておきながら自分の楽しみを探していたのです!」
「……それがどうしたってんだよ!」
「教えられるのはここまでです」
「なんだと!」
「後はまた次の機会に……」
「待てっ!!」
カルトの声も届かず、マルフェナはそのまま月夜へと消えていってしまった。
「くっそ!! 折角ルイガン倒して俺達の事がわかると思ったのによ!」
「最初からこうするつもりだったんだろうね」
「あー! 腹立つ! あいつ倒すのにどれだけ苦労したと思ってんだよ!」
「わかる」
「つかよ? 翼生えるとかズルだと思わねぇか? 空中戦なんて人間のやっていいことじゃねぇぞ」
「まさか、喰の上に乗って戦うとは思わなかった」
「あいつ、ぶん殴ったら意外と言うこと聞くのな。笑ったわ」
「でも一番驚いたのは」
「「心の臓8個」」
「あれはやばい! 意味がわからなかった!」
「一つ潰したと思ったら普通に動き始めた時は終わったと思ったね」
「わかる! ズルっ! て思ったもんな!」
「あれも君の力技で心の臓を杭の回転で巻き取って最後に突き刺すは見てて爽快だったよ」
「いや! お前の喰の連射も良かったぜ! いつ練習してたんだ?」
「実は隠れていろいろ試してたんだ」
「マジか! 俺もやってみるかな」
「はーぁ、何だか疲れちゃったね」
「そうだな。ふわぁー……ねっむ……」
「一回……このまま……寝ようか……」
「そ……だ……な……」
二人の静かな寝息が夜空の下に聞こえ始めた。
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