Second cup 5滴目
「ごめんね、おまたせしちゃって。」
彼女に謝りながら僕はあの部屋へ入った。
「いえ、そんなに待ってないし、大丈夫ですよ。」
苦笑いを浮かべる彼女に僕はスイーツを提供する。「そろそろ話し疲れたんじゃないかと思ってね。サービスの、初恋ミルフィーユです!」
「初恋...ミルフィーユ?」
おっと、どうやらこの商品名では最近の女子高生にはウケないらしい。彼女はミルフィーユを1口、自らの口の中へと運んだ。そして、二口目には、付け合せのソースをかけてもう1口、食べ進める。彼女の頬を涙が伝った。
「本当に、初恋みたいですね。甘いだけじゃなくて、少し苦くて、更には、酸味も加わって。...本当に、本当に美味しいです。」
そういう彼女の頬をどんどんと涙が流れていくのを、僕は隣で静かに見守った。しばらくして、彼女は一言、ぼそっと呟いた。
「わたしの初恋...終わっちゃったのかな...。」
僕はそっと彼女に声をかける。
「そんなこと、ないと思うよ。」
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