Second cup 3滴目
「わたし...最近変なんです」
彼女は苦しそうに話し始める。
「わたしには、同性の幼馴染がいるんですけど、その子と話していると心がポカポカするって言うか、すごく温かくなるんです。」
そういう彼女はどこか少し幸せそうな印象だったのだが、次からの一言でガラリと印象が変わった。
「でも、昨日のことでした。放課後にわたし、清掃担当でごみ捨てに行ってたんですね。そして教室に戻ってきたら、幼馴染と、男の子が2人で話していたんです。」
なんとなく察しはついていた。そして彼女は辛そうに続けた。
「そしたら、ラブレターのようなものを幼馴染が男の子に手渡していました。そしたら男の子も同じような封筒を手渡していました。その時の幼馴染の表情がすごく嬉しそうで、わたし...胸が苦しくなりました。締め付けられるような痛みが体中を襲いました。」
よくありそうな告白の風景だと思った。しかし、どこか妙な引っ掛かりがそこにあった。彼女は泣きそうになりながらも言葉を必死に紡いでいく。
「ずっと、ずっと一緒だったから...今の関係が壊れるのが嫌だから、今の感情をぶつけられなくて、そんな自分が嫌で、幼馴染にも強く当たってしまって。...柊哉さん!わたし、どうすれば...どうすれば元に戻れますか!」
僕は彼女に何をしてやれるだろうか、彼女は僕に何を求めているのだろう。思考をめぐらせ、ありとあらゆる可能性を考える。僕は席を立ち上がり、彼女に一言声をかけた。
「透華ちゃん。君に伝えたいことと見せたいものがあるから少し待っててもらってもいいかい?」
彼女は、はい、と頷く。僕は部屋を後にしてマスターの元へと向かった。
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