Second cup 2滴目

「美味しい、美味しいのに...なんでこんなに苦しいの...。」

彼女から発せられた言葉は、とても辛そうで、苦しそうで、きっとこの子も頑張って生きているんだ。そう実感する。彼女は泣きながらホットサンドを完食したので、僕はそっと彼女に声をかけた。

「君はこのお店をどうやって見つけたの?」

「分からないんです。ただ、懐かしい匂いにつられて歩いていたらこのお店の前に立っていたので。」

ファミリアに導かれるのはどこかで悩みを抱えた人が多い。そして、その人達と向き合うのが僕の仕事だ。僕は彼女と向き合うために、彼女を奥の部屋へと案内する。マスターはいつものように、小さく礼をする。それが僕の仕事始めの合図だった。

彼女と二人、向かい合わせに座って、僕は自己紹介をするのだった。

「改めまして、わたくしこの店で、カウンセラーをしています、姫神 柊哉と言います。ちなみに、公認心理師の国家資格も持ってるから、怪しい者では無いってことはわかってて欲しいです。今日は君とお話ししようと思ってこっちの部屋に来てもらいました。君のお名前、聞いてもいいかな?」

僕が尋ねると彼女も返してくれた。

「えっと、沢田 透華(さわだ とうか)っていいます。」

「透華ちゃんか、よろしくね。」

「はい。よろしくお願いします。」

いかにも高嶺の花と言うべき子だと思った。整った目鼻立ちに、細身のスタイル、更には礼儀正しく会話の中で気配りも感じられる。話していくと、彼女は読者モデルをやっているということもわかり、学校ではさぞ人気なのだろうなと思ってしまう。そんなふうに少し会話をして緊張をほぐしたところで、僕は本題を切り出した。

「最近、悩み事とか、大きな不安とかってあるかな?」

すると彼女は、表情を曇らせてこういった。

「わたし...最近変なんです。」

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