第15話 武者の首と妻の涙
武者の首が一つ
失った身体を思い 嘆きと涙と怒りに
長い歳月と共にさまよっている。
無くした身体を思って見れば..嘆きばかり
奪われ失った身体
深い怒りと悲しみに 己が発する嘆きの声 うめき声
暗い場所を長く長く彷徨って なお 見付からず
闇の底
なお長く月日が過ぎて…
とぼとぼと 女が一人やってきて 泣きながら、 おのれの手を差しのべて抱き止める
「貴方!」「貴方」「私の事をお忘れか! 貴方の妻ではないか」
記憶を辿り 愛しい妻の面影が そこにあり
抱きとめてられて ただただ驚きに何も出来ず
妻は言う 明日は貴方様の身体を探しにゆきましょう。
探して見付からないなら 何処か綺麗な静かな場所で楽しい思い出だけ抱いて
二人で眠りましょうか?
ねぇ、貴方 貴方?眠ってしまわれたか? では 明日 二人で探しに行きましょう。
今宵はゆるりと我の胸で眠りなされや。
柔らかな腕に抱きとめられたまま頬を濡らす妻の涙の滴がポタリ ポタリと
ねぇ貴方、貴方 と、 ささやく優し気な妻の声ばかり
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