第6話 琥珀の酒におぼれて‥それから

大事な恋を失い、更には仕事を失敗して 

今では琥珀色の酒におぼれて、人生を踏み間違えた男


琥珀色の酒に、それから安いジンに 

人生にしくじった哀れな男が酒を飲んで路地で寝ている

その眠っている彼の前に男が一人やって来て

「ん? なんだねアンタ」


「やあ、初めまして」コートに帽子 鷲鼻に白髪の髪は細やかなくせ毛


「‥‥・」「礼をしたくてね」

「これは時の砂時計 過去に戻って 人生をやり直してみないかね・」男は笑う


一瞬 姿が変わり 男の姿は魔法使いのローブ姿にも見えた


「なんだい? まったく夢のような話だが そんな話はある訳がない

お前さんも酔っているんだね」


「さて それはどうかな?」男は笑う

「以前 小川で溺れかけた白いネコを助けただろう? 

あれは大事な友達のネコなんだ それでは、始めようか?」


「あん?」ぼんやりしながら赤くなった自分の鼻をこすり、男を見る。


「やり直すがいい、人生を」

男がそう言うとくるりと手の中の砂時計を回してみせた


ぐるり 

何かが酔いどれの男の周りを回転する いや 回転してるのは男自身かも知れない


気がつくと 雪の舞う街の中 いや ここは 昔住んでいた街 今現在の街じゃない

するりと一人の少女が 彼の腕を捕らえて笑う


「あ・・アンナ?」 「どうしたのヨーゼフ」

あるはずのはない 夢を見てる これは過去の時間  失ったしまった恋の相手

姿を消してしまった 私の愛しいアンナ


川に落ちて、死んでしまったはずの娘


・・やり直し? 人生のやり直しが始まった。


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