第2話 一生懸命で明るい子

~2ヶ月後 秋~


「おはよう!!あいちゃん!!」

「おはよう、みのりちゃん!!ねぇねぇ、今日からの体育、ダンスだって!!」

「えっ、ホント!!ヤッター!!一緒に頑張ろうね!」

「うん!!みのりちゃんにはついていけないけどね」

「もう〜!!そんなことないって!!」




~体育の時間~


よーし!!ダンス、頑張るぞ〜!!


グループになって、それぞれでオリジナルのダンスを作る。そして、私はクループのリーダーになっちゃった!!



「紙透さんがいてよかった!!」

「紙透さん、よろしくね!」

「わぁ〜!!みのりちゃん上手〜!!」


「ありがとう〜!!!!」



サイドステップに、ボックスステップ、そしてターンにウインク!!


「みのりちゃん、ほんとにアイドルみたい」


「そんなことないよお!」



こんな言葉に甘えちゃだめだめ!!もっともっと、練習しないと!!





~放課後~


「あっ、今日も来てくれたの!!ミライちゃん!!」


「うん!!みのりちゃんとお話するの、楽しいから」


――ビューン


「なんか、肌寒くなってきたね」


「うん、もう秋だからね〜」


「ねぇ、みのりちゃん。冬になっても、ここでダンスの練習するの?」


「うん!!アイドルは、野外ライブもするから、寒い中でもダンス踊らなくちゃいけないんだ!!」


「そっか〜、大変だね!」


「うん!!アイドルってすごいんだ!!」





アイドルになりたい。みのりみたいなアイドルに。


でも、夢を見れば見るほど、「私」をどんどん見失っていく。


でもいいんだもん。みのりになれるなら。もっともっとやらないと。



「みのりちゃんにとって、花里みのりちゃんは特別なんだね」


「うん!みのりちゃんは...私の憧れだもん!!!!同じ名前じゃなかったら、きっと好きになってないけど、でも、きっと運命だもん!!みのりに出会えてよかった!!!!」


「うん!私も、みのりちゃんに出会えて、あっ、紙透みのりちゃんに出会えて良かったよ!」


「えぇーっ!なんだか照れるよぉ」


「あっ、あのね!!私も推し、見つけたんだ!!」


「そうなんだ!!ミライちゃんの推しは誰?」


「それは...まふゆちゃん!!!!」


「まふゆ!!可愛いよね!!まふゆちゃん!!!!」


「うん!それもあるけど、なんか似てるなって、私と。私の親も厳しい人で、いっつも怒られてばっかりだった。それで追い込まれて、何度も何度も、この屋上から飛び降りようとしてた。でも......。でも!!...何回来ても、みのりちゃんが、ここで楽しそうに踊ってたんだ」


そう言って、ミライちゃんは泣いていた。


「それを見てたら、なかなか勇気が出なくて...。あの日、いつもより早くに屋上に行って、飛び降りようとしてた。それなのに...。みのりちゃんが、私を止めてくれた!!ほっとしたんだ、まだ生きれるって!!!!」


「ミライちゃん...。」


「それに、まふゆにも出会えた!!まふゆの歌声に、毎日励まされてるんだ!! 」



私も、花里みのりちゃんに励まされたことがあるから、よく分かる。でも...今は......。どうだっけ?



「そして、みのりちゃんにも励ましてもらってたよ!!!!」



私も...?なんで、私が?



「みのりちゃんの笑顔に、いつも勇気をもらった!!」



私が、勇気を与えた?



「一生懸命な姿を見て、明るく前向きなところを見て、私も頑張ろうって思えたんだよ!!!!!!」



一生懸命?明るい?前向き......??



「............。」




「みのり...ちゃん?」




それ、誰?あれ.......




(もっともっと...。もっともっともっと......。)




頭の中で、呪文のように鳴り響く。その声は、どんどん大きくなっていく。





「............そんなの、私じゃない。」




「えっ...。」







「そんなの、みのりじゃない!!!!!!!!!!!!!!!!」






私は、夕焼け空に叫んでいた。












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推しチェン!! 竹内こぴん @coco21

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