第1話 私は、みのりになる
みんな!こんにちわ!!
私の名前は、紙透みのり。高校1年生。部活は帰宅部で、放課後はダンスの練習をしてるんだ!私の今の夢は、キラキラのアイドルになること!!そのために、もっともっと頑張らないと!
〈推し〉~花里みのり~
「おはよう、みのりちゃん!!」
「おはよう!!愛ちゃん!!」
「あっ、そのピン留めって花里みのりちゃんとお揃いじゃん!」
「うん!!昨日自分で作ってみたんだ〜!!」
「へぇ!!手作りなんだ、すごいね!!」
「でも、もっともっとこだわらないと」
「もう、みのりって、頑張り屋さんなんだから」
キーンコーンカーンコーン
今日も授業が始まる。ちょっと眠いけど、頑張って起きなきゃ!
~放課後~
よーし!!今日もダンスの練習頑張るぞー!!!!学校の階段を上って、屋上へ。
いつものラッコのTシャツに着替えて、始めようとしていると、あれ?誰か、いる?
いつもは誰もいないのに。こんなとこで何してるんだろう。
よし、勇気を出して、声をかけてみよう。
「あ、あの......こ、こんなところで、何をしてるんですか...?
って!!なんでフェンスの裏にいるんですか!!?そんなところにいたら、落ちちゃいますよ!?!?」
「ほっといてよ!!!!」
「ほっとけるわけないっ!!!!!!!!」
今までで、いちばん大きな声が出たかもしれない。でも、さすがに、こんな場面をほっとけるわけがない。
「わ、私には、何もできないし、なんにも関係ないかもしれない。でも!!こんなの、見逃せるわけがありません!!!!」
「あなたには関係ないでしよ!?」
「関係あります!!わたしは、私は......あなたのことが知りたいです!!!!」
「な、何言ってるの、意味わかんない...。あれ、あれ......なんで.........泣いてるの、私。って、あなたまで......」
なんとか、彼女を止めれた。でも、もっともっと、彼女のためにならなきゃ!!
「あ、あの、その...な、何年生ですか?」
「1年生」
「えっ、わたしも1年生だよ!!1年1組の紙透!!かみすき みのり!!」
「そうだったんだ。あっ、私は3組の杉谷ミライ。」
「ミライちゃん!!可愛い名前だね!!」
「ありがとう。それに...ありがとう。」
「うん?なんで2回も?」
「い、いや、止めてくれてありがとうって、意味...。」
「いえいえ!!こちらこそ、こうやって、話してくれて、ありがとう!!もう、絶対あんなことしちゃダメだよ!!!!!!」
「う、うん!」
「あっ、わたし、ダンスの練習しなきゃ!!」
「あのさ、その練習、見ててもいいかな」
「もっちろんだよ!!じゃあ、私からもお願い!!今日、一緒に帰ってほしいな」
「うん!」
また、友達ができちゃった!!
~帰り道~
「そのピン留め、可愛いね」
「ありがとう!!これ、花里みのりちゃんとおそろいなんだ〜!!」
「花里みのりちゃん?」
「うん!私の推しだよ!その子もアイドルを目指してて、頑張り屋さんなんだ!!そして、すっごくいい子なんだよ!!」
「なんか、似てるね、花里みのりちゃんと紙透みのりちゃんって」
「うん、最初は名前が同じって言うのがきっかけで、好きになったんだ!!それに、アイドルっていう夢もできた、あっ、花里みのりちゃんはね、プロセカっていうゲームのキャラクターなんだ!!」
「そうなんだ!...名前も同じだけど、性格も似てる。頑張り屋さんで、優しい。」
「そんなことないよ!!もっともっと、頑張らないと!」
「きっと、花里みのりちゃんも口癖なんだね!!もっともっと〜っていうの!」
「だから〜!!みのりちゃんと私は似てないよ〜!!花里みのりちゃんは、もっとも〜っと、可愛いんだもん!!」
「ふふ。そっか!なんか、みのりちゃんの話聞いてたら、プロセカやりたくなっちゃった!!私もやろっかな、プロセカ」
「すっごく、楽しいよ〜!!きっと、ミライちゃんの推しもできるよ!!」
「だね!!あっ、私こっちだから、じゃあ、バイバイ!!」
「バイバイ!!またね!!」
~家~
はぁ、疲れた。
今日は、特に色々あったな。
これも、推しが不運な性格だからか。
花里みのりをちゃんと好きになって、1ヶ月。
友達に話を合わせるために、プロセカを始めて
みんな推しを作ってるから、私も作らないとっ
て、最初に目に入った同じ名前。
最初は、なんともなかったんだけどな。
だんだん、花里みのりの良さに気づいて
どんどん、花里みのりになりたくなってた。
でも、疲れた。
アイドルになりたいのか、
分からなくなっちゃった。
自分なんて元々ないけど、やっぱり他人になる
なんて、無理だよな。
友達は、増えたけど、それは私が増やしたんじ
ゃない。
花里みのりが増やした。
花里みのりになるって決めたのは私なのに。
はぁ。個性って、しんど。
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