コウサクレンアイ

星宮 穹

交わり、交差

第1話 クラスメートとの汗

 2年の終わり春休みの始まり桜が彩りを強めているころ幼馴染の山崎愛美ヤマザキマナミに告白された。

 とても単調に単純に『好きです』の一言の少女漫画とかでよく見れる桜をバックに懸命な思いが伝わる顔での告白。

 僕はそれを受け付き合うことにした。

 彼女に別に好意とかはなかった。

 昔からいつも一緒で高校に入ってもよくどこかに遊びに行ったり帰りがけにも遊びに行ったりそんなことをしている関係。

 それ以上はなくただああずっと一緒にいるんだろうなみたいなよくある家族とは嫌でも付き合っていくんだろうなってそんな感覚。

 順調に過ごしていた。

 喧嘩することはなく不満があれば幼馴染だったおかげか愛美のほうはすぐに言ってきた。

 最低限の常識を理解している範囲での不満だったので了承はしたしそれを改善したりもした。

 ぶつかる壁というものが存在しないそんな付き合いだった。

 学校が始まり下校中よく愛美は隣を歩いている時笑いながら『これからも一緒だろうね』と呟く。

 特に否定する要素もないのでいつも『そうだな』と返している。

 そんな生活がひと月と少し過ごし5月の始めの土曜日。

 毎週愛美とデートしていたのだがこの日は愛美の家の事情で会えないことになってしまい一人で大通りを歩いていた。

 ショッピングモール、ゲームセンター、飲食店、駐車場、居酒屋なんでも並んでいるそんな大通り。

 よくある目的のないウィンドウショッピングというやつを目的にやってきた。

 12時を回る少し前あたりに到着し飯とかも適当に済まそうと考えていたりして歩いていた。

 ショッピングモールの中心部にある庭園のベンチで見覚えのある顔を見つけた。

 俯いていてもわかる整った顔立ちとロングヘア―の黒髪、その上学園でも変わらない佇まいから出くる近づきにくい雰囲気を出している。

 クラスメートの真中悠里マナカユウリだ。

 関わりたいと思ったことはないが男として美人というものは気になったりする。

 スタイルと顔だと結構好み。

 バレなきゃいいだろぐらいの感覚で見つめていると目が合ってしまう。

 彼女が顔を上げた時に目が合ってしまう。

 潮時かと思い顔の向きをを変え目的のない散歩へと戻る。

 数歩ほど歩くと袖をつかまれる。

 何かと思い振り向くとそこには先ほど目の合った真中悠里がいた。

 何をしゃべればいいかわからない僕は彼女を見つめた状態で立ち止まっていた。

 そんなよくわからない時間が5分ほど続いき彼女のほうが先に口を開いた。

「ねぇ、私とデートして」

「あぁわかった」

 もはや反射だった。

 深く考えずただ何か言われたら謝る、了承するの二択だけを言う準備だけをしていてただ了承した。

 言った後で気づいたのだが彼女いるのに別の女とデートってどうなんだろうって。

 一度了承してしまった以上やっぱりというのは意義というか意志というか何かが許さないのでデートをするのだが。

「じゃぁ早速行きましょう」

 そう言うと裾をさらに強く握り僕の引き先を駆けていく。

 その時見た彼女の顔は笑顔だった。


 引かれるまま店を回って20分くらいで腹の虫がなってしまう。

 彼女が微笑する。

「あら、まだ昼食とってなかったの?」

 頷く。

「私を見つめる暇があるから昼食なんてとってると思ってたわ」

「いや、時間的なことを考えてくれ...」

 見つめる暇があるからってどういうことだよと思いがら呟く。

「時間?ごめんなさいそんなもの見てなかったわ」

 そんなものって...まぁいいけど。

「適当にそこでいいでしょ」

 そう言って彼女はよくあるハンバーガーとか売ってるファストフード店を指をさす。

「それでいい」と言うとそのまま引かれて店へ入る。

 600円くらいのクーポンのセットを注文し席を陣取り特に会話のない食事をした。

 食事が終わるとまた彼女に裾を掴まれ体を引かれていく。

 まずはゲームセンター。

 かわいい景品のぬいぐるみがあるユーフォ―キャッチャーで2000円散財した。

 30センチほどの大きさの犬のぬいぐるみ。

 彼女がこれやってみると300円ほど投下しとることができなく「難しくて無理そうだわ」と言って諦めたところを「僕もやってみるよ」と言って同じく300円を投下。

 あまりこの手のゲームをしたことがないのでお決まりの失敗。

「いいよ、ありがと」と彼女が言って裾を引っ張るが足に力を込めて立ち止まる。

 裾を引いていた彼女は立ち止まる僕に不思議そうな顔を向ける。

 小銭入れを取り出し中から100円をゲーム機に投下。

 傍から見れば普通に考えればバカなことなのだが取れるまで100円を入れ続けた。

 とれたぬいぐるみを彼女に渡すとぬいぐるみに頬ずりしながら「ありがとう」と言ってくれた。

 それを見た僕は心のどこかで満足感を得ていた...。

 その後太鼓型の音ゲーをプレイしゲームセンターを後にした。

 出た後はクレープ屋やジェラートを置いている店を食べ歩きショッピングモールに戻り家具屋や服飾店、アクセサリーショップで僕の当初の目的でもあったウィンドウショッピングを二人で日が沈むまで楽しんだ。

 最初に出会ったショッピングモールの庭園に戻ってきた。

 カップルが仲良く腕を組んで歩いたり仲良く帰る雰囲気を出している子供連れの家族、まだ小学生の雰囲気が抜けていない中学生の集団が楽しそうにしている。

 そんなムードを感じつつベンチに二人で座り光景を眺めていた20時を過ぎたころ。

 僕も帰宅しようかと思い振り向こうとすると彼女が裾を強く引く。

「ねぇ...最後に、最後に一個行きたい場所があるの」

 一軒くらいなら、別に大丈夫だろうと軽く考え頷いた。

 ずっと握っている裾を今日一番に引きながら目的地へ連れていかれる。

 20分ほど速足で歩き大通りから外れ歓楽街に入る。

 なんとなくこういうところへ来ると男だから想像してしまう。

 そういうことをする場所かもしれないと。

 彼女がいるので不貞行為をするかもしれないという不安とビジュアルが好みな娘と行為をするかもという男の欲望、夢想がせめぎあう。

 彼女の動きが止まる。

 体の向きを傍にある建物を変える。

 入り口には休憩、お泊りという単語と数千円の数字が並んでいる。

 期待...してしまう。

 ただ期待してしまった。

 夢想だったはずが現実になった。

 不安というか迷いはその時消えてしまっていた。

「行こ」

 彼女は俯きながらそうつぶやいた。

 初めて裾じゃなく、手を握り...。

「あぁ」と答えてしまう。

 パンドラの箱を開けてしまったそんな考えだけは残りながらも気持ちはもうそういうものに変わってしまっていた。

 初めて自分から手を引きながらその建物に入る。

 中に入るとあったパネルを操作して部屋をとり、そこへ入室する。

 とりあえず入ってすぐあったベッドに二人で腰を掛ける、手は握ったままだ。

 静寂が部屋を包むがそんな時間は束の間、僕のほうから彼女の唇を奪っていた。

 軽く触れあうような軽いキスを。

 彼女ともしたことがないのに、こういう行為というものが初めてながら自分から。

 唇のあとは頬やおでこにもしながら押し倒していく。

 緊張しているせいか汗が出る。

 それでも手は止めず手だけは動かしていく。

 服の裾を手に取り脱がそうとすると彼女のほうから一度上半身だけを起き上がらせ脱いでいき下着だけの姿になる。

 彼女が下着を外そうとすると彼女の手首を掴み再び押し倒す。

 察してくれたのか体の力を抜いてくれる。

 僕はそのまま下着の下から手を入れ乳房に触れる。

 小さくも大きくもない掌にうまく収まる大きさを堪能する。

 そこからやってみたかったことというのをBに該当するあたりからやっていく。

 僕と彼女の吐息が交わり二人で汗をかきながら。

 そしてある程度整ったかなと思えたところで彼女を見つめる。

 見つめると察してくれ微笑みながら頷いてくれる。

 その表情を見ると彼女と僕は交わった。

 初めての舌を絡めるキスを交わしながら音が部屋に響く。

 ただ必死に僕は腰をふり、二人は交わる。

 舌は交わり、汗も交わり、体を抱きしめ、彼女の血に触れながら二人は交わる。

 そして快楽の頂点を迎え果てた時、交わってはいけないものも交わってしまう。

 彼女の隣で横になる。

 二人で顔を合わせ微笑みあう。

 彼女がいる身でのこの行為、許されないのはわかっている。

 でもそんな考えは頭の隅で縮まっているだけだった。

 僕はただこのひと時、最高の悦楽の瞬間のほうが大切だった。

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