オカルト研究部の幽霊部長と闇のゲーム

 天笠さんに腕を引っ張れて連行される俺。

 まてまて、どこへ向かう気なんだろうか。


 ……ああ、分かっている。


 きっとこのままオカルト研究部へ連れて行かれるんだ。


 校舎の裏にある怪しい小屋まで向かった。

 なんだここは。

 ていうか、ここに小屋なんてあったのか。知らなかったぞ。



「ウサギ小屋?」

「違うよ。オカルト研究部だよ」

「マジかよ」



 とてもじゃないけど、オカ研とは思えない風貌だ。ズタボロのウサギ小屋にしか見えない。いや、こういう外観なのだろうか。あえて。


 まあ、そんな細かいことはいいか。


 とにかく中へ。


 扉を開けるとそこには小さなテーブルがあって、女子二人がいた。



「あ、部長」

「こんちは……」



 二人は明らかに天笠さんの方を向いていた。


 ん……?


 部長!?


 まてまて、今のは聞き捨てならなかったぞ。



「天笠さん、まさか……」

「うん。そう。私はオカルト研究部の幽霊部長」

「幽霊部長?」


 幽霊部員なら聞いたことがあるけど、幽霊部長ははじめて聞く。

 そんな部長がいるものなのか?


「そ。ほとんど顔を出さないからね」

「それ、部長としてどうなんだか」

「いいの、いいの。部員数は足りてるから」


 なるほど活動に支障はないと。

 それにしても、女の子だけとはね。


「はじめまして、でもないですね。この前は野球でお世話になりました。二年の石黒いしぐろ 七海なつみです」


 石黒という少女は丁寧に自己紹介してくれた。

 そういえば野球大会の時にいたっけな。当時は挨拶している暇もなかった。


「なんだ、同級生だったんだ。俺は神堂。神堂 來だ」

「え、そうなんだ! よろしくね」


 石黒さんは、おっとりで笑顔も素敵だな。

 本来なら茶道部だとか、そっちにいそうなお嬢様っぽい雰囲気。


「あ、あの……僕は一年の二条城です」

「へえ、一年だったのか」


 てか、二条城とか変わった苗字だなぁ。

 こっちの子は物静かそうに見える。

 けど、オカ研の片鱗がところどころに見受けられるな。


 怪しいネックレスや指輪をしている。

 ネイルもなんだか……ドクロの装飾とか凄い気合の入りよう。校則違反ではないだろうか。


 一通りの挨拶を終え、俺は改めて天笠さんの方へ視線を送った。

 すると彼女は微笑んで俺の腕を引っ張った。


「さあ、座って」

「勝負は?」

「後でやるから。それより、ちょっとゆっくりしようよ」

「お、おう」


 しかし、俺としては菜枝が気掛かりだ。

 一応スマホのメッセージアプリで連絡はしておいたけど、オカルト研究部の場所分かるかな。


 けどその心配は杞憂に終わった。


 少しすると菜枝が姿を現した。



「こんにちは~。姉さん、言われた通りに参りましたー」



 走ってきたのか、菜枝が息を切らしながら登場した。無事に来れたか。



「よ、菜枝」

「に、兄さん! いらしたのですね」

「天笠さんに連行されてね。勝負だってさ」

「なるほど。では、やるしかありませんね」



 菜枝も最近はノリが良い。

 実の姉と会話するキッカケにもなるし、なんだかんだ仲の良い姉妹だから。


 俺としても二人には仲良くして欲しい。


 だからこそ、勝負も受ける。

 生活費の為にもね。


 菜枝も椅子に座った。

 これで四人となった。


「さて、天笠さん」

「ああ、うん。闇のゲームをしようか」


 まてまて。

 そんな某漫画のような物騒なことを言い出すな!


「なんだよ、闇のゲームって。怖いじゃないか」

「まあ、血くらいは出るかもね」

「なにサラっと言ってやがる。中止だ、中止!」

「冗談」

「冗談かよっ」


 いったい、なにが始まるんです?

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