激ウマ! 濃厚トロトロのGOGOカレー
俺は天笠さんの提案を受け入れようとした――のだが。
「姉さん、お断りします」
「「え……!?」」
今度は俺と天笠さんの驚きの声が被る。
まさか菜枝が断るだなんて……!
これは意外すぎた。
「菜枝、せっかく天笠さんがデズニーに誘ってくれているのに……いいのか?」
そう聞くと、菜枝はこう耳打ちしてきた。
「わたし、兄さんと二人きりなら行きたいです。でも、姉さんがいるのなら話は別です。VIPだろうと、顔パスであろうとも関係ありません。二人きりがいいんです」
ここまで強く言われてはな。
それに、そうだな。
俺は大切なことを忘れるところだった。
二人きり――それがまずは大前提だ。誘ってくれた天笠さんには悪いけど。
「天笠さん、悪い」
「……やっぱりね」
「なんだ、分かっていたのか」
「大体予想はついていた。でもね、私も負けていられないの。ねえ、神堂くん、今度でいいからさ、私と一緒にデズニー行こうよ。
――ああ、大丈夫。返答は今すぐじゃなくていいからさ。じゃ、私は行くね。困ったことがあったら、いつでも連絡して」
ラインのIDを教えられ、俺は記憶に留めた。まさか、こんな形で天笠さんの連絡先を知ることになろうとは。
いや、それよりも……。
「菜枝、その、なんだ……天笠さんのことなんだが」
「別に姉さんのことが嫌いとかではないんです。ただ、今回はわたしと兄さんだけの旅行ですから……だから」
「もちろんだ。デズニーは、また別の日にしよう。引き換えればいいわけだからな」
「はい。その日を楽しみにしていますね」
ゆびきりして約束をした。
次回こそはデズニーへ行く。絶対にだ。
次に『フロア445』へ向かった。
そこから『フロア450』の展望回廊へ上がれるようだ。更に見晴らしがよくなるようだな。
350でも十分に高いのに、まだ上があるとはな。
エレベーターで上がっていくと『フロア445』に出た。順路を歩いていくと、外には街並みがもっと広がった。
少しずつ歩いていくと、ついに『フロア450』に到着。
「ここが最高到達点の451.2メートルらしい」
「そんなに高い位置なんですね、ここ……。まさに天空ですね」
こう高いと感覚も狂ってきた。
まるで空に浮いている気分だ。
このままどこかへ飛行できるのではないかと、変な錯覚に陥る。
「とんでもないところへ来てしまったなぁ」
「夜景も綺麗そうですよね」
「あ~、夜も来てみたいよな」
夜は夜で凄そうだ。
また機会があれば夜景を見に来たいものだ。
のんびり三十分ほど見て回り――満足したところで、地上へ下りた。
* * *
「大迫力だったなあ、菜枝」
「とても見ごたえがありました。次回はぜひ夜景で」
「二回目決定だな。夜で」
「決まりですね!」
どのみち、デズニーチケットを入手したら立ち寄るだろうしな。その時が来たら、夜に来よう。菜枝を二人きりで。
なんだかんだ時間は経ってお昼になった。
東京なら、どこまで行きたい放題だ。
どこで何を食べようかな。
「なにか食べたいものある?」
「う~ん……選択肢が多いと迷っちゃいますね」
「そうだなー。なんでもあるだろうし」
「あ! そうだ、兄さん。GOGOカレーはどうですか!?」
ぐいっと顔を近づけられ、俺はビックリした。――って、GOGOカレー?
「聞いたことないな」
「ウチの地域には店舗がないですもんね。馴染がないのは当然です」
「初耳だよ。そんなカレー屋があるのは」
俺の住む場所では『ゴゴイチ』というカレー店があるからなぁ。ああ、それでGOGOカレーの店舗がないのかもしれない。競合店だから、なにかしらの事情があるだろうな。
「どうでしょうか、GOGOカレー」
「うん、いいよ。俺は親父にゴゴイチはよく連れられて言ったけど、GOGOカレーは初めてだし、気になるな」
「良かった。では食べに行きましょう」
「おう」
菜枝の提案により『秋葉原1号店』へ行くことにした。どうやら、秋葉原もついでに見たいらしい。俺も気になっていた。メイドさんとかいるのかな。というか、メイドカフェが気になる。
さっそく電車で移動し、秋葉原駅へ向かった。
到着して、歩いて直ぐのところにGOGOカレーはあった。
「黄色い看板なのですね」
「……クセになる味ねえ。てか、あのゴリラはなんだ?」
「さあ? お店のマスコットではないでしょうか」
そんな馬鹿な。
気になるので後で調べてみよっと。
入店すると思ったよりは混雑していなかった。
なるほど、どうやら『券売機』で買うタイプのお店らしい。楽でいい。
メニューを見てみると、ロースカツカレー、チキンカツカレー、GOGOカレーなど美味そうなカレーばかりがあった。
サンプル画像を見る限り、ボリューム満点でお腹いっぱい食べられそうだな。
「俺はチキンカツカレーにするかな」
「では、わたしも同じものを」
あっさり決まったので、券を購入。
あとは待つだけだ。
「カレー食ったら、どうしようか」
「兄さんの好きなところへ連れていってください」
「俺の好きな場所か~。秋葉原は見て回ってみたかったから丁度いいよ。菜枝もそのつもりだったんだろ?」
「そうなんです。メイドカフェとか猫カフェへ行ってみたくて」
「大体俺と一致しているな。じゃあ、両方行くか。それで夜まで過ごせるはずだし」
「やった! 両方行けるなんて幸せです」
メイドカフェも猫カフェも千円~三千円で利用できるようだ。なんと良心的! それなら、全然問題ない。
先に猫カフェへ行って癒されてから、おやつを食べにメイドカフェってところかな。
「決まりだな。――お、カレーがきたぞ」
話していれば、大きなお皿に盛りつけられたチキンカツカレーが出てきた。こりゃ、思ったよりも量あるな。なんだかお得感がある。
さっそくスプーンを手に取って、カレーをすくって食べてみた。
……うまッ!
なんて濃厚。
トロトロで口の中が幸せいっぱいだ。
チキンカツのソースの塩梅も完璧。カレーと見事に調和しているし、食が進みまくった。菜枝も夢中になって食べている。
お~、いい食べっぷりだ。
こんな美味いとは知らなかった。
GOGOカレーのファンになりそうだ。いや、なった。菜枝のおかげで良い店を知れた。ここは俺のおススメ店ベスト10に入るぞ。
★★★
面白い・続きが気になると思ったらで良いので『★★★』の評価をしてくださるとモチベーションがアップして助かります!
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