えっちな水着の義妹は甘えたい

 贅沢過ぎる時間を過ごし、アパートへ戻った。


 帰宅後、俺はそのまま晩御飯の準備を進めた。今日も菜枝の為に美味しいものを作る。

 いつも笑顔を貰ってばかりだから、せめて俺は食で菜枝を幸せにしてやりたい。



「ご飯を作るよ。菜枝は風呂にでも……」

「いえ、わたしもご一緒します。兄さんと一緒の時間を過ごしたいので」


 硝子細工みたいな繊細な笑顔だった。

 そこまで熱望されては、俺は断れなかった。

 いや、むしろ俺も菜枝と一緒にいられる方が嬉しい。


 でも――待てよ。


 一緒の時間を過ごしたいということは、料理だけではなく“風呂”も?



「ひとつだけ確認したい」

「なんでしょう」

「お風呂も?」

「……はい。全部一緒がいいです」


「全部!? まさか、トイレも含まれていないだろうね」

「もちろん、含まれます……!」


「含むなッ!」


 俺は思わずツッコンだ。

 すると菜枝は“しゅん”と落ち込んでしまった。いやいや、トイレはまずいでしょう。

 その気持ちは嬉しいけどね。


 お風呂だけでも、まだ慣れないっていうのに。



「やっぱりダメですよね」

「ダメ。それより晩御飯を作る」


「今晩は何にするんです?」

「ミートボールスパゲッティにしようと思う」


「わぁ、それ良いですね」

「調理も簡単だからね」



 ミートボールは、スーパーで売っていた『うずらの卵入り』を使う。これは茹でればいいだけなのでラクチンだ。

 更に『ミートソース』をレトルトも投入。

 菜枝にそっちを任せ、俺はスパゲッティを茹でていく。



 本当は、もっと本格的な調理もしたいけど時間がないので、サクっと作ってしまう。



 茹で終え、あとは開封してお皿に盛り付け。

 これで完成……っと。


 テーブルに並べ、お茶も淹れた。



「「いただきますっ」」



 手を合わせ、さっそくフォークを手に取る。

 くるくるとスパゲッティを絡めて口へ運んだ。



「……うん、即席にしては美味いじゃないか」

「そうですね、兄さん。美味しいです」



 上品に味わう菜枝は、次にミートボールを口にしていた。あの中には、うずらの卵があるから、二度美味しいんだよね。


 俺の予想を超えて、菜枝は瞳を輝かせていた。


「それ、好きなのか」

「はい、この卵入りのミートボールが好きなんです!」


「お弁当に入っていると、ちょっとお得感あるよな」

「だから好きなんですよ~。さすが兄さん」


 褒められて、なんだか照れた。

 そうか、菜枝の好物だったとはな。これは良いことを知れた。今後も、隙あらば入れておいてやろう。


 楽しい食事は進み――完食。


 食器を一緒に片付けて、菜枝との時間がずっと進み続ける。……言われてみれば、一緒に過ごすって、とても楽しい。


 いつまでも菜枝の隣にいたい。



 * * *



 片付けを終えると、菜枝がボソボソなにかを言っていた。



「どうした?」

「……お、お風呂入りませんか」



 顔を赤くして震えるような口調でねだってくる。

 そんな光景があまりに愛おしくて、たまらなかった。この誘い方はズルい。俺の一方的な敗北だ。


「み、水着ならいいけどな」

「もちろんです。前と同じでいいですから」

「分かった。それならいいよ」

「ありがとう、兄さん。では、水着に着替えて待っていますね」


「おう、心得た」



 俺も今回から水着……海パンを用意した。至って普通のサーフパンツだけどな。


 自室で着替え、俺はそのまま脱衣所へ。少し待つと『入ってきてください』と呼ぶ声が響いた。ので、俺は遠慮なく脱衣所へ。更に扉を開けてバスルームの中へ入った。


 菜枝はすでに黒ビキニのえっちな水着に着替えていた。


 相変わらず、すごい谷間だ。

 おへそのあたりも可愛い。

 高校生と思えない、くびれとプロポーション。

 足もスラっと長い。


「そ、そんなジロジロ見られると恥ずかしいです……」

「す、すまん。菜枝は魅力的だから」

「本当ですか」

「本当だよ。アイドルになれると思う」


「少し考えたこともありました。でも、大変そうだし……。わたしは兄さんだけのアイドルになりたいので」


 

 俺の手を引っ張る菜枝は、そのまま抱きついてきた。

 密着した状態で、シャワーを浴びるという幸福の時間を得た。


 ただ見つめ合って、静かな幸せを感じた。


 なぁ、親父。

 俺はこんなに幸せ者でいいのか。



 仮にも天笠家の娘だぞ。

 財閥のお嬢様だ。



 俺の手の届かない存在だったはずだ。

 でも、今はこんなにも近くて、全てを感じられる――。



★★★

面白い・続きが気になると思ったらで良いので『★★★』の評価をしてくださるとモチベーションがアップして助かります!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る