下着姿の義妹

 無事十万円をゲットし、しかもアパートまで送って貰えた。


「ありがとう、天笠」

「ううん、お礼を言うのはこちら。楽しかった」

「ほとんど下手くそプレイだったけどな」


「楽しむことに価値があるから。じゃあ、また学校で」


 手を振って別れた。

 天笠はもしかして、俺と菜枝と遊びたかった……のか?


 首を捻っていると、膨れっ面の菜枝が目の前に。あぁ、いかん……忘れていたわけではないけれど、天笠の独特な雰囲気に飲まれていた。


「兄さん」

「あ、ああ……アパートへ戻ろうか」


 階段を上がり――帰宅。

 菜枝と笑顔を合わせ、靴を脱ぐ。


 ようやく帰ってきた、我が家に。


「兄さん、わたしはお風呂へ行ってきますね」

「ああ、俺は晩飯を作る」

「すみません、お願いします」


 さっきあれだけ運動したから、直ぐにシャワーを浴びたいんだろうな。



 俺は菜枝に喜んでもらえるような料理を作っていく。今日は思い切ってハンバーグカレーにしてみるかな。



 ◆ ◆ ◆



 晩飯が完成した。そのタイミングで菜枝が風呂から上がってきて、俺はその光景に目を丸くした。……し、下着姿!?


「……な、菜枝」

「……兄さんのえっち」


「いや、俺は頼んでないし!? てか、風邪引くぞ」

「いいんですっ、兄さんに見てもらいたい……から」


 どんどん声が小さくなっていく。菜枝は明らかに恥ずかしそうにして、今にも逃げ出しそうだった。無茶しすぎだろッ。


「せ、せめて上はシャツを着てくれ。目のやり場に困るし、風邪を引かれたら困るからさ」

「わ、分かりました。じゃあ、兄さんのシャツを借りますね」


 いつの間にか奪われていた俺のブランド物であるシュープクリームのTシャツ。いつかすめ取っていたんだ……。

 まあいいけどね、菜枝に着てもらえるなら、俺が喜ぶから。


「お、似合うね。ふとももが大胆だけど」

「えへへ。兄さんの匂いがします」

「……お、おう。それより、飯にしよう。ハンバーグカレーだぞ」


「わぁ、凄いです。兄さんってなんでも作れるんですね」

「なんでもは無理だけどね。さあ、冷めないうちに食べよう」


 まずは菜枝の反応を見た。

 スプーンを手に取り、健気にカレーを味わう。いちいち動作が天使で可愛い。


「美味しい……なんだか甘くて優しい味です」

「隠し味があるからね」

「へえ、なにを入れているんですか?」

「それは秘密さ」

「え~、教えてくださいよ~」

「残念ながら、これは親父の秘伝――つまり、企業秘密なんだよ」


「あ~、喫茶店のレシピなんですね」

「そ。だから教えられないんだよ、ガチで」

「兄さんって、お父さんと仲良いんですね」

「ま……そこそこかな。一応、このアパートを借りて貰った恩もあるし。今は出張中で戻ってこないけどな」


「そうだったんですね。一度、ご挨拶しておきたかったのですが」

「そのうち戻ってくるさ」


 食事を進めていく。

 菜枝は幸せそうにカレーを口に運んでくれていた。良かった、今日も菜枝を幸せにできた。



 晩飯後、俺も風呂へ。

 特に何事もなく汚れと疲れを洗い流し、部屋へ戻った。すると、俺のベッドに寝転ぶ菜枝の姿があった。俺の部屋にいるしっ。


「あ……兄さん」

「なんだ、一緒に寝たいのか」

「それもあります。でも、一緒に映画を見たいなって思って」

「映画か、寝る前に一本いいかもな」

「動画配信サイトをいくつか登録しているので、見ましょ」

「へえ、サブスクか。じゃあ、菜枝に任せる」


 爺ちゃんから貰ったプロジェクターの出番だな。スマホとミラーリングすれば映像を映し出せる。だが、一部サイトは対応していないので注意だ。


 菜枝は壁に動画を映し出す。


 しかし、突然……男と女が裸で愛し合っている映像が流れ――ちょおおおおおおお!!


「あっ! こ、この映画……スプラッター映画なのですが、冒頭はえっちなシーンがあるヤツでした……。でも、大丈夫です! この二人、直ぐに殺人鬼に殺されちゃうので!」



 ネタバレしてるし……。

 てか、気まずいっ!

 いつまでラブシーン続くんだよ……!


 菜枝はとうとう両手で顔を覆ってしまった。



 直後、男女は殺人ピエロに襲われて惨殺された。菜枝ってこういうエログロ系の映画を見るんだ……意外すぎてビックリだ。



「……エロから一転してバラバラにされたな」

「えっちなシーンは恥ずかしいですけど、すごく残酷で面白い殺された方しましたね、さすがB級映画ですっ」



 なるほど、菜枝の趣向が少し分かってきたかも。

 結局、その映画を最後まで見た。


 後半になるにつれ、菜枝は怖がって俺に抱きついてきた。いつしかのように抱き合うように寝て――俺は眠ってしまっていた。


 おやすみ……。



★★★

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