えっちなチアガール(義妹)

「ふ、普通に撮影するだけだよな。わざわざカギを閉める必要はないだろう」

「誰かに見られたら恥ずかしいですから」


 そういうことか。

 それにしても、チアユニフォーム姿の菜枝は氷のような美しさがあった。手も足もスラッとしているし……ミニスカートがよく似合っている。


 って、見惚れている場合ではない。

 俺はスマホを向けた。


「さっそく撮影させてくれ」

「可愛く撮ってくださいね」

「もちろんだ。じゃあ、ポーズを頼む」

「ポーズですか……う~ん」


 菜枝は悩みながらも両手を広げ『がおー』のポーズを披露してくれた。可愛いから、これはこれでアリだな。


「そのポーズ、最近流行ってるよな。じゃあ、撮るぞ」


 パシャッと一枚撮った。

 続けて色んなポーズを試していく内に――菜枝は谷間を強調したり……段々過激になってきていた。


「兄さん、次はパンツを……」

「ちょ……いいのか」

「大丈夫です。チアのは“見せパンツ”なので恥ずかしく……うぅ、やっぱり恥ずかしいです」


 俺の目の前でスカートをたくし上げる菜枝は、震えながらもパンツを見せてくれた。見せパンツとはいえ……これは刺激が強すぎる。


「撮っていいのか」

「……は、はい」


 少し悩んだ末に、俺はスマホを向けようとした――が。その時、更衣室の扉がドンドンと叩かれて俺はビックリして転倒。


 菜枝を押し倒してしまった。



「――きゃっ!」



 し、しまった。



『あれ~、なんで閉まってるの?』『誰か使ってるんじゃない』『仕方ないかぁ、もう少し練習して待ってるか~』『そんな予定あったかな』



 そうか、チア部の人たちが戻ってきたんだ。

 てか、ヤバイ。こんなところを見られたら俺は一生ヘンタイ扱いだ。



「いてて、すまん。菜枝……びっくりして押し倒してしまった。……しかし、この柔らかいモノはなんだ?」


「……ん、ぁ。に、兄さん……そ、そんなところをグリグリしないでぇ」



 気のせいだろうが、菜枝が微かに喘いでいるように見えた。急いで離れて、俺は謝った。


「す、すまん!」

「……はぁ、……はぁ」



 なぜか息が荒いな。

 俺は菜枝を立たせたが、瞳が恍惚こうこつとしているような。



「も、もう出ようか。俺は先に行ってるから」

「…………兄さん、わたし」

「ん?」


「……シたいかも」

「な、菜枝?」


「い、いえ……ごめんなさい。なんでもないです。先に行ってください」



 まだ息の荒い菜枝は、顔を真っ赤にして背を向けた。なんかとんでもない事を言っていた気がするけどな……。



 * * *



 校門前で待っていると制服姿の菜枝が笑顔やって来た。


「なんだか上機嫌だな。良いことでもあった?」

「今日は兄さんと楽しいこといっぱい出来ましたから、幸せですっ」


 必殺のエンジェルスマイルを頂き、俺は泣きそうになった。こんな時間が永遠に続けばいい。


 歩きだしてアパートを目指すと、黒い車が目の前で止まった。



「な、なんだ物騒だな」

「……あ、あれは」

「菜枝、覚えがあるのか

「天笠家だと思います」


「なんで今更? 菜枝はもう俺の義妹だろう」

「そうです。だから堂々としていればいいんです」



 身構えていると車の中から天笠が現れた。そ、そりゃそうか……。元とはいえ、菜枝の姉なのだからな。



「……やあ、神堂くん」

「なにしに来た」


「言ったでしょう、キャトルミューティレーションだって」


「お、おま……本気だったのかよ。連れ去りか!」

「うん、神堂くんを連れ去る」


 車の後部座席からグラサン黒服の男が二名現れ、囲まれた。……な、なんだこの映画みたいな状況。俺、連れ去られるの……!?



★★★

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