禁断の女子更衣室

 チア部へ到着。

 どうやら、体育館で練習をしているらしく声援が響き渡っていた。少し覗くと六人ほどの女子が激しい動きで踊りを披露していた。


 すげぇ……はじめて見たな。


「あ、あんなに飛び跳ねたり、くるくる回ったりするの……!?」


 信じられないと菜枝は青ざめていた。予想より違ったらしい。


「俺もビックリしたよ。あんな激しい動作があるのか」

「みたいだね。でも、あれはちょっと無理かも」


 いわゆるアクロバティックな動き。映画のアクションシーンみたいだ。あれが出来たらカッコイイな。


「体験入部だけしてみるとか?」

「う~ん……」


 これはちょっと厳しそうかなと、菜枝が諦めかけた時だった。



「神堂さん!」

「わッ!?」



 背後から菜枝を襲う人物。

 な、何事!?



 俺も焦って菜枝を守ろうとするが、その人物の顔を見て混乱した。



「き、君……五月女さん!」

「こんちわっす、おにーさん」



 太陽のような笑顔を向けられ、俺はちょっとドキッとした。な、なんて可愛い……違う。そんなわけはない。危うくときめくところだったがギリギリセーフだ。


 それより、五月女は背後から菜枝に抱きついていた。……美少女同士がこう並ぶと何かイケナイ世界を想像してしまうが、俺にそっちの趣味はない。断じて!



「五月女さん……な、なんでここに」



 さすがの菜枝も困惑していた。



「なんでって……あたし、チア部だからね」


「「え……!?」」



 俺も菜枝も驚きの言葉を漏らす。

 ボーイッシュな五月女さんが……チア部だと!? 似合う似合わないの問題ではなく、あまりにも意外すぎた。


 彼女はどちらかといえば、陸上部とか剣道部の類だと思われたが……チア部の所属だったとは。


 しかも、よく見れば五月女はチアユニフォームを着ていた。



「そ、五月女さん……可愛い」

「ありがとう、神堂さん……って、もう堅苦しいね。菜枝ちゃんって呼ぶね。あたしのことも“四季しき”って呼んでよ」



 それが五月女の名前らしい。可愛すぎかっ。ほんと、見た目のイメージとかけ離れているな。



「し、四季ちゃん……」

「うん。ところで、菜枝ちゃんは――もしかして、チア部に入部!?」

「ちょっと見に来ただけだから……わたしには無理そう」


「そんなことないと思うよ。菜枝ちゃん、すっごく綺麗だし、胸も大きいし」



 と、五月女は菜枝の胸をわしづかみ。



「――――ひゃぁっ!!」



 飛び跳ねる菜枝。

 もし五月女が男だったのなら、俺は問答無用で抹殺していたが……幸い、友達であり美少女。やはり、俺のいない間は彼女に菜枝の騎士になってもらうか。


 しかし、ウム……良い絡みだ。


 菜枝は顔を真っ赤にして必死に抵抗して、チアの五月女は爽やかな笑みで胸を揉みしだいていた。


 これはこれで……。



 ――って、イカン。



「五月女さん、そこまでにしてくれ。菜枝がもだえ苦しんでいる」

「あはは。ごめんなさい、おにーさん。でも、せっかくだから菜枝ちゃんのチア姿くらい見ておきたいですね」


「それは興味あるな。でも、衣装あるの?」

「ありますよー。体験入部用があるんです!」


「よし、菜枝。体験入部だ」


 息を乱す菜枝に俺は、そう促した。だが、菜枝は息を切らして涙目。さっきの五月女の攻撃がよほど効いたらしい。……助けてやりたかったが、少しは友達とのスキンシップも必要だ。


「……兄さん、もう!」

「怒るな怒るな。入ってみたかったんだろ、チア部」

「そ、それはそうですけれど。――分かりました、兄さんに見て欲しいですし、ひと肌脱ぎますね」


「ああ、楽しみだ」



 決まった。そのまま女子更衣室まで向かい、俺は外で待機する。


 しばらくすると着替え終えた菜枝が現れた。



「…………」

「おぉ、菜枝。似合っているじゃないか」

「本当ですか?」



 おへそを大胆に出したミニスカのチアユニフォーム。水着のビキニに近い露出度。なんていうか……肌色多すぎる。


 なによりも胸。


 菜枝は巨乳だから……膨らみが凄いことになっている。これは、間違いなくどんな男でも虜にするな。


「可愛いよ。天使だ」

「えへへ……嬉しいです」


 このままお持ち帰りしたいくらいだ。


「ところで、五月女の姿が見えないが」

「先に体育館へ行っちゃいました。今は、兄さんと二人きりです」

「そっか。そりゃ都合が良い……スマホで写真撮っていいか?」

「は、恥ずかしいですけど兄さんにならいいです。ポーズとか取りますか」


「ああ、頼む。出来ればえっちなので」


「……では、女子更衣室を借りましょう。こっちへ来てください、兄さん」

「え、ちょ!?」


 腕を引っ張られ、しかも菜枝は女子更衣室の鍵を閉めてしまった。な、なにをする気だー!?



★★★

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