第12話 手伝い

「う、うーむ」


俺は悩みながらまた顎に手を添える。

それから必死に悩む。

どうしたものか、と思いながら。

まさか幼馴染と美鈴にキスをされるとは思わなかった。

その為に.....悩んでいる。


「.....それでブラブラ歩いていて.....やって来たのがこの場所か」


近所のコンビニ。

とは言ってもど田舎なのであまりそんな最先端のコンビニでは無い。

そんなコンビニにやって来る。

それからドアを押し開けると、あ。おにーちゃん、と声がした。


「朔子。お手伝いってか仕事ぶりはどうだ?」


「そうだね。.....まあまあかな。.....お兄ちゃんはどうしたの?」


朔子が手伝っているコンビニだ。

荷物を動かしていた朔子は俺を見てくる。

それから笑みを浮かべた。

すると更に奥から、あらぁ?、と声がしてくる。


「昭仁ちゃんやないのぉ」


「よお。エセ関西弁女」


「それはやめてやぁ。エセちゃうで」


「いや。エセだろ」


海老津奈々子(えびつななこ)。

黒髪をポニテにしたそばかすのある美少女(本人曰く)。

朔子と友人である様な女の子だ。

そして.....俺と幼馴染の関係を重んじている。


「.....幼馴染ちゃんは元気?」


「.....まあな。.....まあ.....うん」


「.....?.....何かあったん?」


「.....いや。何も.....ない」


「???」


何か怪しいのぉ、と言ってくる奈々子。

俺は少しだけ赤面しながら手で打ち消す。

それから改めて2人を見る。

ところで、と言いながら。


「.....コーヒーくれよ。奈々子」


「奢ってあげない事もないけど。そん為には何があったか話してもらわないとねぇ」


「いや。なら買う」


「渡さないよぉ」


「.....お前本当に店員か?」


だって気になるじゃんか?、と言ってくる奈々子。

俺は赤面しながら頬を掻く。

それから、本当に何も無いって、と言う。

でもおにーちゃんがそんな感じって事は何か隠してるよねぇ、と朔子がニヤニヤしてくる。

俺は赤面した。


「.....マジに無いから。.....何もな」


「.....フゥン。じゃあ.....ミクに聞いてみようかな」


「.....お前ら.....店員にあるまじき行動だぞ」


「ふふーん。私は君とミクの事を第一に応援しているからねぇ」


「有難いけどな」


「そうでしょ?なら話をしなさい」


「.....無茶苦茶だな.....」


俺はこれ以上は隠しきれないか、と思い。

キスをされた事を話した。

するとエセ関西弁女は、きゃー!!!!!、とか言った。

叫んだせいでオーナーまで出て来て騒動になる。

全くコイツは!!!!!



「おにーちゃん。.....良かったじゃん。告白されて」


「.....まあそうなんだけどな。.....でも俺は複雑だよ。内心」


「.....そうやなぁ。確かにな」


奈々子。お前は店員だろだから。

イートインコーナーでなんでくつろいでんだよ。

俺は思いながらもコーヒーを飲む。

それから、苦い、と思う。

今日はブラックにしたから、だ。


「マジに良かったわぁ。安心したさかい」


「お前もう関西弁じゃねぇぞそれ」


「アッハッハ」


「いやアッハッハじゃねぇよ」


俺は苦笑いを浮かべながら奈々子を見る。

だが奈々子は構わず俺を笑みを浮かべて見ていた。

俺はその姿に溜息を吐く。


すると、ねえ。おにーちゃん。告白って何処で?、と聞いてくる。

その事に俺は、公園だ、と偽った。

流石に電車はマズイと思ったから、だ。


「モテモテやんか。アンタ。でも私は.....ミクとアンタの事しか祈ってないけどね」


「.....そうか。.....いつも有難うな。そう祈ってくれて」


「まあそうやろ。痴漢にもおうとるしな。.....可哀想な面もあるから」


「.....そうか」


そんな会話をしながら奈々子はまた笑む。

俺はその姿を見ながら苦笑い。

それから溜息を吐きながらブラックコーヒーを煽る。


やっぱり苦い。

が。

何だか砂糖を入れている様な感じに思える。

告白されたからか?


「例えアンタの付き合うとる人であろうとも。.....好きである人が居ろうとも。私はアンタとミクしか祈ってない。.....だから頑張って」


「.....お前はそう言う所だよな。母親として」


「私はピッチピチの17歳ですが?」


「.....オカン」


「やめぇや」


殴るで?、と言いながら俺をニッコリと見てくる奈々子。

俺は、NGだろ、と苦笑して言う。

すると朔子も、私も奈々子ちゃんと同様、と話した。

そして俺を見てくる。


「私もおにーちゃんの恋の相手はミクさんが良い」


「.....朔子.....」


「.....頑張って」


「.....ああ」


おや?もしや朔子ちゃんも恋をしているのかな?お兄たんに、と揶揄う奈々子。

俺は、んな訳あるか。血が繋がってんだぞ、と奈々子の額にチョップした。

それから痛がる奈々子を見ながら盛大に溜息を吐く。

全く、と言いながら。


「あはは.....じゃあそろそろ帰ろっか。おにーちゃん」


「だな」


「.....そやさかい?ならまた来てや」


「.....ああ。また来るさ」


それから俺達は暗くなる前に帰る事にした。

そしてその帰り道。

家の目の前に.....カナールが立っているのに気が付く。

俺を見ながら笑みを浮かべた。

ホア.....?

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幼馴染が幼い頃の『なんでもいうことをきく券』というものを今更ながら使ってくるんだが.....!? アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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