第8話 美鈴の本気

カナールと俺は友人同士だった。

だけどカナールから愛の告白されてから。

俺達は彼氏彼女が居なかったので付き合い始めた。


当然だが幼馴染のミクはこの事は知っている。

しかし知らない人が居る。

それは.....もう分かるかも知れないが美鈴とかだ。


「カナール」


「はい♪」


「.....そろそろ離してくれ。.....俺がマジに殺される。消される」


「え?逆に何でですか?アキヒトさん」


「見て分からないか?.....俺を殺そうとしている眼差しばかりだ」


休み時間。

目の前をカナールが見る。

そこには金属バットとかを持っている男どもが。

俺を見ながら微笑みを浮かべているが。

持っている物は物騒なんだが。


「.....な?」


「.....アキヒトさん。幾ら何でも心配し過ぎですよ。この方々がジョークでやっているんだと思います!」


「.....ジョーク?マジに.....?」


そんな訳あるか、的な感じで友康が指導しながら俺を見てくる。

俺は苦笑いを浮かべながら居ると。

あ、あの!、と声がした。

見ると美鈴が俺を見てきている。


「.....その。カナールさんは元カノですよね?」


「はい!」


「.....じゃ、じゃあ今は.....違うって事ですよね?」


「何がですか?」


「.....そ、その。付き合っているのとか」


んー、違いますけど。

でも私は今でもアキヒトさんが好きです!、とお人形は笑顔を見せる。

そして俺に殺意がまた湧く。

クラスから、だ。

俺は額に手を添える。


「.....その.....でも一度.....別れたんですよね?」


「.....そうですね。生き別れはしました。.....ですが私はまだアキヒトさんが好きです」


「.....そ、そうなんだ.....」


そんな感じで言いながら俺の腕に手を回してくるカナール。

そして満面の笑顔を浮かべる。

俺はその姿を見ながら、お、おい、と言うが。

カナールは離さない。


「.....私は.....アキヒトさんと結ばれる運命ですね。こうして再会したのも」


「.....いや。運命って.....お前。3年間も空白が空いたのにまだ好きなのか本当に?」


「好きですよ?当たり前ですよ。何だか色々な人が私に告白してきました。でも全部アキヒトさんとの為に断ったぐらいです」


「.....マジかよ.....」


ブーイングを発しながら俺を見てくるクラスメイトの男ども。

ウルセェな.....話が分からんくなるだろ。

思いながら見ていると。

すると美鈴は唇を噛みながら、お、お手洗いに行って来るね、と席を外す。


「.....何だったんだろう?」


「よく分かりません。.....でも.....」


カナールは何かを察した様に顎に手を添える。

だがそれは言葉に出さずに誤魔化す様にして俺に笑みを浮かべる。

俺は?を浮かべながらカナールを見る。

そして居ると友康が、やれやれ、的な感じになった。


「お前は羨ましいよ」


「.....まあそうだな.....羨まられる事ではあるな」


「.....3年前にそんな事があったなんてな。話してくれても良いじゃないか」


「そうだな。タイミングが見つからなかったからな。すまない」


「.....カナールさん。俺も友人になって良い?君の」


「はい!是非とも!」


だってアキヒトさんのご友人は私の友人ですから!、と言いながら笑顔を浮かべる。

そして、ね?、と言いながら俺を見てくる。

俺はその姿を見ながら、ああ、と答える。

そうしているとチャイムが鳴った。


「.....あ。チャイム鳴りましたね。じゃあ戻りますね」


「ああ。じゃあまた後でな。カナール」


「はい♪」


そして自分の席に戻るカナールを見る。

っていうかそういえば。

美鈴.....戻って来たかアイツ?

思いながら美鈴の席を見るが。

戻って来てない。


「.....どこ行ったんだよ」


「おい?昭仁?立って何やってんだ?授業始まるぞ?」


「ゴメン。サボる。腸チフスを発症した」


「.....はい!?」


友康が目をパチクリする。

そして美鈴を探す為に俺はそのまま教室から後にしてから。

そのまま駆け出して行く。

すると屋上のドアが開いているのに気が付いた。

それからドアを押し開けると。


「.....どうした?美鈴」


「.....昭仁君.....」


「.....何で泣いている?どうしたんだ?」


「.....い、いや。ゴメン。ちょっと体調が悪くて」


「.....あ、ああ。そうなのか.....」


美鈴はずっと泣いていた様な。

そんな感じである。

何故なら頬に涙の跡がある。

さっきまで泣いていた様だが.....。

何でだ?


「.....ちょっと辛くなって」


「.....辛い?今も体が悪いのか?」


「.....う、うん」


それなら保健室に、と言いながら俺は踵を返そうとした時。

俺の手を掴まれた。

そしてそのまま、待って、と言われる。

俺は!?と思いながら背後を見る。

赤くなっている美鈴が居る.....。


「.....行かないで」


「.....え?でも.....お前.....顔も赤いんだが?」


「だ、大丈夫。熱は無いから。.....だから一緒に.....一緒に居て」


「.....じゃ、じゃあ教室に.....」


「それもダメ.....」


「えぇ!?」


美鈴は俺の手をしっかり掴む。

そしてジッと俺の目を見据えていた。

理不尽じゃね?!、と思い何を考えているか分からなかったが。

俺は、分かった、と返事をしてしまった。

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