第2話 この券がある限り、ね?
幼馴染とは疎遠の関係になった。
それあは理由がある。
思春期の.....何だか鬱っぽい感じで疎遠になった。
女の子と男の子だから、だ。
分かるかもしれないが恥ずかしかった。
何かが、だ。
そんなミクと俺だが。
何故か知らないがミクが(なんでもいうこときく券)という俺が大昔の太古に作ったボロボロの券を見せびらかしてきてその効力を発動した。
つまりどういう事か。
俺は幼馴染のボディーガードを務める事になった。
あり得ない。
何がどうなっている。
いきなり何でこんな接近して来るのかも分からない。
思いながら俺は女の子友人の兼親美鈴(かねちかみすず)に相談した。
友康は今はトイレに行っている。
かなり大人しめの女の子。
黒髪のボブ。
つまり清楚系の美少女だが。
「それは.....えっと。.....つまりあれなんじゃないかな。やっぱり信頼出来る人に任せたいって事じゃないかな」
「.....ああ。やっぱそう思うか?」
「.....う、うん」
クラスにて。
そんな会話をしながら俺は、ふむ、と悩む。
因みにだが俺とミクは別クラス。
アイツは特進クラスである。
まあ天地の差だな。
「私としては.....良いと思う。.....だって君は何時も優しいし正義深い」
「.....いやそんな事は.....」
「たまたまにしても痴漢を撃退するとか相当だと思うし」
「.....それはまあそうだな.....」
「そうだと思うぞ」
背後から友康の声がした。
そして俺の首に手を回してくる。
全くこのヒーローがよ!、と言いながら。
俺はその言葉に、おいおい。止めてくれ、と言うが。
「止めないに決まってんだろ。.....お前というヒーローちゃんは首を絞めてやるぜ」
「止めてあげて。もー」
「美鈴がそう言ってんだ。止めてくれ」
「ああん?止めないに決まってんだろ。このクソバカ」
「ああん?」
全くコイツは。
思いながら坊主頭を見る。
そして美鈴を見る。
美鈴は少しだけ悲しげな顔をしていた。
それをハッと止めてから俺をニコッと見てくる。
「.....とにかくは.....まあ.....良かったんじゃないかな。また.....幼馴染さんと触れ合えて」
「.....まあそうだな。.....これが話すキッカケにもなったしな」
「羨ましねよ?アッハッハ」
「お前な.....」
俺は額に手を添えながら苦笑しつつ。
2人を見る。
でも何故かあからさまに残念な感じを見せる美鈴はどうしたのだろう。
俺達の関係に.....何かきっかけが?
思いながらも口には出さない事にしておいた。
☆
「お昼ご飯.....どうしようか。また一緒に.....」
そこまで美鈴が言ってきた時。
教室のドアが開いた。
それからミクが顔を見せる。
昭仁。一緒にご飯食べよう、と言いながら.....は!?
俺は目をパチクリする。
「お前今までずっとそんな関係じゃなかったじゃないか!」
「今日は食べたい気分だから。一緒に。ね?」
「俺には先着があるんだよ。.....な?美鈴」
「.....えっと.....あ。良い。大丈夫。私.....用事を思い出したから.....」
そう言いながら美鈴は去って行く。
俺は???を浮かべながらミクを見る。
ミクは、お友達?、と言ってくる。
俺は、ああ。まあそうだな、と曖昧に答える。
「.....どうしたんだろうか.....アイツは」
俺はそんな呟きを残しながらも。
ミクに引っ張られてあまり考えれなかった。
男子達と女子達がそれぞれ奇声と悲鳴を上げながらの中。
俺達はそのまま屋上まで向かった。
☆
「んー!清々しい天気!」
「.....まあ.....そうだな.....」
「.....ねえ。昭仁。今日はお弁当持って来てる?」
「.....まあそうだな。大概持って来てる。食堂で食べたいし.....お金が浮くしな」
「そっか。じゃあ交換会しようよ」
「.....何の?」
おかずの、と言うミク。
俺は真っ赤になりながら、どういう事だよ!?、と切り出す。
するとミクは、だって私のご飯食べたくないかな?、と言ってくる。
いや!?いきなりでビックリしているんだがさっきから!
「お前.....そんな積極的は.....」
「なんでもいうこときく券」
「いや!?だからそれはもう昔の負債だろ!何を考えている.....!?」
「私にとっては負債じゃないもん」
「.....!」
だってこのチケットがあればずっと一緒だよね、と言いながら笑顔を見せる幼馴染。
当時と変わらない笑顔に.....俺は。
真っ赤になってしまった。
今は5月半ばだというのに.....困るんだが。
「あはは。真っ赤になってる」
「.....お前な。揶揄うなって」
「.....私だって恥ずかしいんだから」
「.....は?」
俺は仰天しながら顔を上げる。
そこには少しだけ頬を朱に染めている幼馴染。
どういうこった.....?、と思いながら見ていると。
ミクは首を振った。
そして、じゃあ食べようか、と言ってくる。
俺は訳が分からず仕舞いだった。
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