うんぷてんぷ

 しばらく皆その場に立ち尽くしていたが、やがて言われるがままに壁のモニターを外すと、壁が抉れていて裏側に小さな空間があり、そこには金色の鍵があった。その鍵を使ってドアを開くと、この部屋と隣り合って壁と天井が真っ赤に塗られた部屋が見えた。こっちはかなり広い空間だ。床には一辺2~3メートルほどの白と黒の正方形が交互に敷き詰められている。向かい側の壁には扉も見えるが、それよりも目を引いたのは部屋の中央に鎮座する大理石の柱だ。そこに備え付けられたモニターには不気味な仮面をつけた人物が映り込んでいた。


「お!今度はバッチリ映ってるね!善き哉。さてと、無事前説も終えたところで、次は君たちの運を試しちゃうぞ~」


 声の主――画面に映る仮面の人物は続ける。


「この部屋のフロアタイルは一つ一つが独立した感圧式のスイッチになってて、一歩踏むごとにトラップが発動したりしなかったりします!どんな仕掛けかは踏んでみてのお楽しみ。サイコロステーキって好きかな?頑張って向こうのドアまで辿り着いて次のお部屋に向かってくれよな!」


「運を試すって…」


「無茶苦茶だろ…」


 先ほどのナツキがどんな目に遭わされたのかを考えると、ここでのトラップというのは簡単な落とし穴だとか、そういった子供騙しのものではなく…命を落としかねない危険な代物であることは容易に想像できる。そんな危険が待ち受けていると知りながら一か八かの選択を何度もしろって言うのか?


「因みにセンサーは人の体重くらいの重さに反応するから、靴を投げたりしてトラップを作動させようとしても無駄です。え~そんなのってないよ~」


 マス目上に敷き詰められた5×5の合計25枚のフロアタイル。中央のマスは柱で塞がっているので正確にはそれを除いた24枚。助走をつけて跳べば一枚分くらいは跳び越せそうではあるが、中央の柱を迂回して進まなくてはならないのでどうやったって少なくとも計4回ほどスイッチを踏むことになる。


「トラップは全部で7個。1度作動したら同じトラップが再び作動することはありません。制限時間は15分。それではよーいスタート!」


 声の主がそう告げると、モニターはデジタル表示のタイマーに切り替わった。


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