てんぷれえと
「お約束って偉大だよね。デスゲームって言うからには先ずはしょうもない死に方をする第一犠牲者!これこれ~って感じ。本当はもっとグロゴアショッキングな演出が盛り上がるんだけど昨今はコンプライアンスが厳しいので」
何が起こったのかを理解することが出来なかった。ナツキが…さっきエレベーターに乗って、何か破裂したような音が聞こえたと思ったら、これがそこから出てきて…首が無い?何の?
「え…?」
「何これ…嘘でしょ…ナツキ…?」
「いやああああ!!」
響き渡る悲鳴。動揺、混乱、恐怖といった感情が俺たちの間に伝播し、増長する。全身から血の気が引いていく。本能が目の前の事態を理解する事を拒絶する。もしかして…死んだ?ナツキが?昨日まで、いやついさっきまでそこで喋っていたのに?
「ところで…ハルト君!今のお気持ちはいかがデスカ?ハッピーかな?」
ハルトは床に膝をつき、顔面蒼白で呆然としている。
「ありゃ。あんまりハッピーじゃなさそう?確かハルト君はそこのナツキ君を含む学校の野球部の奴らから、軽いイジメみたいなものを受けていたって聞いたんだけど」
一体何の話だ?イジメ?ナツキがハルトを?…ハルトはかなり内気な方だし、男子の中でも華奢で小柄な体格だ。そのことをナツキが所属する野球部の連中にからかわれているのを見たことがある。
けれど、イジメというかあんなのいじりの範囲内みたいなものだ。ハルトも本気で嫌だったらこうして同じ班として一緒に行動出来ていなかっただろう。むしろ今でこそ多少疎遠になったが、高校に入るまでは近所だったり親同士の面識があったことから、5人は毎日のように遊んでいた仲の良いグループだった。
今回の修学旅行はそんな見知った仲間たちが、当時の楽しかった時間を思い出すような、そんなものになると信じて疑わなかった。それなのに。
「はいはい!皆さん!まあ死んじまったもんは仕方ないよね!切り替えてこ!わかったらちゃっちゃとこのモニター裏に隠してある鍵をゲットして、本番に挑んで下さいね!じゃあよろしく!」
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