よくきいてね
モニターにはテレビの試験電波に使用されるカラーバーが映し出され、何処からともなく部屋には音声合成ソフトで作られたような抑揚のない声が鳴り響いた。
「やあこんにちは!今回取っ捕まえられちゃった哀れな馬鹿ガキども!こんにちは!さあ、ゲームをしよう…なんつって!これ一回言ってみたかったんだよね!あ、あとこれも!これから皆さんには殺し合いをしてもらいます。こっちはマジに受け取らないでね!それだと困っちゃうから」
「…あ?もしかしてこれ映像見えてませんか?えっえっ嘘でしょ!?折角気合入れておめかししてきたのに…あ本当だ信号入ってないや…おしまいだ…」
呆然とするこちらを気にする様子もなく、声の主は続ける。
「まあいっか。あのこれあれです。なんかデスゲーム的なやつなんで。貴様ら頑張ってここから脱出してくだちい。」
「いやいやあのさ」
我慢の限界とばかりにチアキが声を上げた。
「まずお前誰?何のつもりでこんな事してんの?普通に犯罪でしょこれ。意味わかんないし笑えないんだけど。さっさとそこの鍵開けて。あとうちらの荷物返してくんない?」
「あっこれは失礼。申し遅れました私、鍵田という者です。これ今すごい名前ジェネレータで出てきた良い感じのやつね。かっちゃんとお呼び」
要領を得ない返答に、続いてナツキが激昂する。
「ふざけてんのか!?いいからとっとと俺たちをこっから出せっつってんだ!」
「んもー怒んないでよそんなに。エモーショナルだなぁ笑」
「ぶっ殺すぞテメーー!」
「あの…デスゲームって具体的に何を私たちにさせたいんですか?」
このままでは埒が明かないと思ったのか、フユリが一先ず話を合わせるという形で情報を得ようと試みた。
「おっそこのお嬢さん!見どころあるね!良い質問です。こちらをご覧ください。ポチっと」
モニターから電子音が鳴ると、ゴゴゴと鈍い音を立てて部屋の壁の一部がスライドし、中からもう一つのドアと三角形のスイッチのようなものが現れた。
「うわっ」
「先ずはデモンストレーションっていうか、チュートリアル的な感じだよ。今現れたエレベーターはそのまま私の部屋に繋がっているけれども、とある資格を持った人だけしか乗ることは出来ない。そんな怪しげなエレベーターと鍵のかかったドア、どっちを選ぶ?」
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