主役探しのデスゲーム
@4kein
いらっしゃい
「去年の夏にさ、みんなでナツキの家に集まってホラー映画みたじゃん。あれに何か似てるよね」
「似てるよねって…今の僕らの事言ってる?」
「うん」
修学旅行2日目。本来ならば今頃班ごとの自由行動で京都を観光していたはずの俺たち――ジュン、ハルト、ナツキ、チアキ、フユリの5人は見知らぬ部屋に監禁されていた。
「あれ面白かったよな!まさか最初の死体がさぁ」
「いやいやそんなこと言ってる場合じゃないでしょ。本当に誰もスマホ持ってないの?」
「…」
「っていうか何処だよここ」
部屋の全体を見回す。昨晩宿泊していたボロボロの旅館が、まだ人間の住む場所としての体裁は保っていたのだと思い知る程度には、ここには何も無かった。代わりに確認できるものは、壁に掛けられている薄型のモニターと、天井の隅に監視カメラらしきもの、鉄製のドア。先ほど監禁と表現したのは、その唯一の出入口に鍵がかけられていたからだ。
「ぐぬぬ…開かねー!オイコラ出せやー!」
ドアノブを力いっぱい回したり、体当たりをしたりして懸命にドアと格闘しているナツキだが、扉はびくともしない。
「くそっ普通こういうのって体当たりすれば開くんじゃねえのかよ!ハルトも黙って突っ立ってねえで手伝え!」
「う、うん」
「俺も手伝うよ」
せーの、の掛け声で一斉に体当たりを始める男子3人。対する女子2人組は比較的冷静に現状を分析していた。
「これってさぁ…もしかして拉致監禁ってやつ?スマホどころか荷物全部無いし…」
「そう…なのかな。でも私たち昨晩確かに旅館に泊まって、ちゃんと部屋で寝たよね?眠っている間に同じ部屋の子達にも気付かれずに誰かが忍びこんで、私たちをさらってここに運び込むなんて…誰が、何のためにそんな手間のかかることをしたのかな…」
「じゃあ夢だ。もしくは全員夢遊病持ちで夜中に徘徊してたら偶然ここに迷い込んだとか」
「あはは、そっちのが怖いかも…ねえ、今何時くらいなんだろうね。朝は食堂で点呼とるはずだったから、私たちがいないって事には先生も気付いていそうだけど」
「じゃあ今頃警察が私たちを探してくれてるよね」
すーっと息を吸い込み、チアキが声を張り上げる。
「誰かー!聞こえますかー!プリーズヘルプミー!」
「はいはーい」
唐突にモニターが点滅し、映像が映し出される。
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