第4.5話 月都、初期設定をする

先日、うちによくやく『廉価版趣味思考型アンドロイド』が届いた。予約してから3ヶ月は経ったような気がする。


この数年で日本がAIの開発・発展に成功し、法人向けのアンドロイドが活躍、一般向けの廉価版が出回るにはあまり時間はかからなかった。しかし、予想を上回り、『思考型』アンドロイドが普及したため、アンドロイドの人権問題が今の課題になっている。


そんな中、高い買い物にはなったが背に腹は変えられぬと俺は決断したのだ。アンドロイドを買うしかないと!サービス残業で家事すらまともに出来ない現状を打破するために‥!


ただ、これはイメージなので他意はないけど、なんでも完璧にこなす『定形型』より『思考型』アンドロイドの方がいいかなと思ったのだ。完璧すぎるとこう‥ロボ感ありすぎて息が詰まりそうになる気がしない?うちの会社にいる『定形型』アンドロイドはまさにロボ。言われたことを完璧にこなす。美人だけど。アンドロイドってほぼ人間と見分けつかないんだよね。


各言う俺も、ロボ感とは異なるかもしれないが、周りにはよく言えばクール、悪く言うと面白みがないと言われるのだ。しかし、内面はわりと熱い方だと自負している。なんと趣味は車で峠を走ること。もちろん違法行為だ。


話は逸れたが、ようは思考型の方が人間と同じように学習して考えることをするからきっと楽しいはず!そう思ったのだ。趣味思考型の趣味をどうするかで迷ったんだよなぁ。色々あったけど、一番人気のあるVOCALOIDにしてみた。しかもサービスで外見のカスタマイズが出来るとあったので、ツインテールで可愛い感じにしてみた。


さて、と‥。ん?電源どこだ?なんかモゾモゾ触ってると変態みたいだな、俺。あったあった。


ポチッ。


『廉価版趣味思考型アンドロイド起動中。

VOCALOID-01、初期設定を始めます。』


おお、感動。初期設定か。スマホでやるんだよな。


『名前をつけて下さい。』


名前は決めてある。『初音 ミク』。

ソフトのインストールか。家事をやってもらうから家政婦さんのソフトをインストールっと。あとは、念のため車の運転操作のソフトと運転免許の証明書も。‥その内、一緒に走れたら‥最高だろうな‥、でも危ないからそれは無しで。と、思いながらもインストールしてしまう俺。


他には、

「性格」‥優しい。素直。勉強家。

「口調」‥丁寧。

「趣味嗜好」‥趣味?んー、女の子らしく、可愛い物が好き‥と。可愛い物ならなんでも好きになるのかな?後ついでにこれも‥車‥はやめとくか。これは個人的な趣味だし、押し付けがましいか。それに、走り屋やってるのあんまり知っててほしくないし。


最後に

「特殊スロット」‥これはもう買ってあるんだよね。ここにセットするのかな?よっと。


‥こうしてミクの初期設定をしていると、夜が更けていったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る