vs共依存

 拠点に戻り、モニターを見て、準決勝戦の――え、あれ、次って第三試合じゃなかったっけ? 今回の参加者少なかったのかな。開会式セレモニーの段階での脱落者が想定よりも多かったのか、オイラの預かり知らぬところで第三試合の相手が降参したりヨーセキに撃破されたりしているのか、真実は闇の中――対戦相手が『デウス・エクス・マキナ』であることを確認したオイラが取るべき作戦のうち、最適なものを次の選択肢から選べ。


 1,コンビを組んでいる人間がヨーセキの妹っぽいけどその事実は伏せる。どうせ向こうはメット被っているからわからない。能力でゴリ押ししよう。

 2,名前が同じなだけで妹ではない。顔の感じは似ているけど妹ではない。さっき(道場破りコンビが来る前に)パソコンで調べた時出てきた顔写真に似ているけど他人の空似だ。地球上には同じ顔をした人間がいるというから。オイラは今回で優勝するのだ。ここまできて、ヨーセキに降参させるわけにはいかない。オイラが武装してロボットを叩いてもいい。あるいはデウスを退場させる。

 3,というか、そうだよ、これまでみたいに参加者を倒せばいいならデウスを狙えばよくない?

 4,よし、よーし。デウス倒すわ。デウス絶対倒す。悪趣味な技術者メカニックを許すな。観客の前で恥をかかせようじゃないか。


「ヨーセキ」

「なんですか。」

「徹底的に叩きのめそう」

「?」


 何を今更と顔に書いてある。最初から優勝しか見ていないもんな。愚問でした。


「もし、仮に『こちらの世界にヒョーセ「見かけましたか?」


 もし、と仮にと前置きを二つ重ねる。にもかかわらず言い終わる前に食いついてくた。オイラはヨーセキのその表情を見て「い、いや、もしかしたらの話だ。ひょっとしたらのIf」と付け加える。


「探しに行きます。」


 聞く耳を持たないヨーセキは、その右手を扉に押し当てて。おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい! ちょっと待て!

 オートロックの故障はまだしも扉がなくなるのはまずいって! あとでりしゅうちゃんに謝らないと!


「次に会場で会える!」


 オイラは本当のことを口走っていた。そうでないと、どこまで行ってしまうかわからない。首輪にGPSでもついていてくれたらいいんだけど、そんなもんはない。次からつけてくれよマジで。だから「オイラはヨーセキが寝ている間、ヒョーセツについて調べて、さっきデウスと一緒にいたのを見た!」と早口で捲し立てる。


「……そうですか。」


 止まってくれた。やれやれ。

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