12.

「あっ、あれ?」


 翌朝、目を覚ました私は立ち上がろうとして違和感を覚えた。足に力が入らず立ち上がることが出来なかった。視界も最初は寝起きだからぼやけてるのかと思っていたがそうではないらしくずっとぼやけたままだった。


 そこに頭痛に加えて吐き気、呼吸困難までが同時に襲ってきて私にはもうどうしたらいいのか分からなかった。


 異変に気づいたのかお父さんが足音を立てながら部屋に入ってくるのを尻目に私意識を手放した。







「晴奈ちゃん、ほんとに言い難いことなんだけど君の余命はあと1年くらいだと思っていて欲しい」


「……え?」


 病院のベッドで目を覚ましてお医者さんに最初に言われた言葉がこれだった。


「余命……1年?嘘……だよね?」


 気まずそうに黙り込むお医者さんの様子を見て今言われたことが事実だということを改めて認識する。


「晴奈……本当に済まない」


 突然謝罪をする父を見て私はお父さんが何かを隠しているということに気づいた。じっとお父さんの事を問い質すような目で見つめると観念したようぽつりぽつりと話し始めた。


「晴奈がまだ小さい時……医者から言われてたんだ。この子は身体が出来上がる前に産まれてしまった。そのせいで色々と障害を持っている可能性もあるし、身体が弱くて長生き出来ないかもしれないってことも聞かされていたんだ。でも俺がそれを晴奈には黙ってて欲しいと医者に言ったんだ。晴奈に変な負担をかけたくなかったから。でも、今こうやって突然こんなことを言われて晴奈が混乱してるのは俺のせいだ。だから済まない」


 なにそれ。


 お父さんが私を傷つかないように私に隠していた事はわかった。でも、言っておいて欲しかったという気持ちの方が強かった。確かに早くから言われていたらずっとそれについて考えてしまうというのも分かる。今みたいに普通に生活なんてできていなかったこともわかる。でも知っていれば死ぬまでにもっと色々なことが出来たし、今みたいに突然の出来事に混乱することもなかったはずだ。


 教えて貰ったら教えて貰ったでまた別の苦しみがあるのもわかるがやっぱり自分の体のことだし教えておいて欲しかったというのがあった。


「……少し1人にさせて」


 私の言葉をどういうふうに受けとったのかは知らないが、お父さんと、お医者さんは残念そうな顔をして病室を出ていった。


 別にお父さん達に怒っている訳では無い。彼らの言いたいこともわかるし実際知らなかったからこそ今まで普通の生活を謳歌できていたことも事実だ。


 だから1人になりたかったのは別の理由。

 私が生きてきた意味ってなんだったんだろう。そんな疑問を1人で考えたかった。


 みんな何らかの夢があってそれを実現する為に学校に通って勉強するという普通の生活を受け入れている。


 将来お金を稼いで楽をするため、研究者になるため、公務員になるためなど。


 私にはそのどれもが無理なのに今までなんのために生きてきたのかが分からなくなった。


 どうして今まで苦労して普通の生活を送ってきた私がまたこんな目に遭わないといけないのか。


 これからどう生きていこうか。


 1人になった空間で私は考えた。幸い何度も入院経験があり、死ぬかもと思うような状況を何度も経験して生きてきた私は思いのほかこの生活に直ぐに適応できた。


 そしてこれからの人生をどう生きていくのかも決めることが出来た。


『今まで迷惑をかけた分、そのお返しをしよう』


 これが私の人生の目標となった。そしてまずそれの第1歩として桜井君にお礼として渡すつもりで作ったアップルパイを早く渡そうと心に決めた。




 ――――――――――――――――――――――――



 受験生なんでめっちゃ更新遅くなりました。

 本当に申し訳ないです。


 あとそこまで文章の確認とかもできていないので変な文章になってたりするかもですが、そういうのがあればコメントで指摘して頂けるとありがたいです。


 もう一度受験が終わってから自分で文章とかは見直す予定ではあります。


 あと星を下さいとねだったら星が貰えるとかTwitterで言われたんですけど本当なんですかね?w

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君に恋をしたことは間違いなのか ☆猫より柴犬派☆ @astellious

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