第14話パン職人と菓子を作る
俺は木戸を叩く。
「はーいどうぞ」
部屋の中から声がする。俺達は木戸を開けて中に入る。
すると今まさに作業をしているパン職人達を率いる初老の男性が見えた
「おお、これはユーサーさま。パン窯厨房へどんな御用でしょうか?」
初老の男性は恭しい態度で俺に接する。俺はこの初老の男性に見覚えがあった。。
「カスパーを含めた
俺は今思いついたことをサラサラと述べた。
高校時代やバイト時代に身に着けたその場で喋るセリフを考えながら、人前で話をすると言う技術のお陰で自然にカスパー達を上げる事が出来た。
「それはそれは、ありがとうございます。
よろしければ、お三方でパンを作ってみますか?」
正に渡りに船の提案だ。
「いえ私達は……「是非お願いします。甘いパンなんかが良いですね。今日のディナーの後にお父様達に出せるようなのがいいです」」
俺はスヴェータの言葉を遮って、俺はスヴェータやリンダにも俺の意図が伝わるような言い方をする。
「バゲット(フランスパンの一種)等ではなく、
カスパーは首を傾げ悩むような仕草をする。
恐らくは、
パンの本場であるフランスでは、パン屋とケーキ屋の区別が少し曖昧でマカロンやクロワッサン、クッキーがどちらでも売られていたりするらしい。
そりゃぁマリー・アントワネットが「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」と言ったと聞いて、日本人は「パンが食べられないのにって、お前ふざけるな!」と思うのだが、正しくは「あなたたちはブリオッシュを食べたら」だからニュアンスが違う。
まぁ当時のフランスでは、ブリオッシュはお菓子扱いされていたから、そう訳す事に不思議はないが御幣があると思うが……
まぁマリー・アントワネットは、そんな事一言も言ってないんですけどね。
社会契約説だったか論だったかで頭を悩ませた記憶がある、俺は拳で抵抗するロック、人民のルソーって覚えたお陰で乗り切った。
そんなルソーさんが自著の本分で、家臣の「農民にはパンがありません」との発言に対して、さる大公夫人が「それならブリオッシュを食べればよい」と答えた。ワインを飲むためにパンを探したが見つけられないルソーが、家臣からそう報告されたことを思い出したと、告白したことが元ネタだと当時の担当教師が言っていた事を思い出した。
菓子パンとは言う物の実際は、おやつや朝食で食べられるものが多く、牛乳やバター、イースト菌を使うモノは基本菓子パン扱いされる文化らしいので、日本人には理解できない。
だから俺は
「今の僕は、まともに剣を振れるほど体が出来上がっていないしね。
魔法を勉強する以外は暇なんだだから趣味を持とうかなと……」
「趣味ですか……」
「そう釣りとか園芸とか、ボランティアとかでもいいんだけど、料理やお菓子作りも身近なところで出来るし面白いかなって……」
「なるほど……そう言う事ですか。では喜んでお手伝いさせていただきます」
「ありがとう」
俺はカスパーに礼を言う。
「簡単な
カスパーの助言は適切なモノだった。初心者には簡単なモノを勧め先ずは、焼き立ての美味しさともの作りの楽しさを理解して欲しいと言ったところだろうか?
「いいですね。僕はデザート見たいなモノを作りたいのでタルトなんてどうかなと思うんですが……」
「かまいませんよ。ではユーサー様はこちらへ、お二人はこちらへどうぞ……」
そう言ってスヴェータとリンダを少し離れた。長机に誘導していく……
「どう言ったモノを作りたいですか?」
俺の調理を手伝ってくれる
「そうだなぁ……隣の
「なるほど、そう言う事ですか……」
俺の説明で全てを理解した様子の
「では、タルトやパイなどは如何でしょう? ナッツと林檎を蜂蜜に漬けたものがあるのでそれを使えば、リンゴの爽やかな香りに蜂蜜の甘さと香り、それにナッツの触感も加わって美味しいですよ」
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