第9話 「逃げないで、戦いなさい!」そんなこと言われても、ムリだし!「いやなら、逃げちゃえ」そう言ってくれたら、生きやすくなるんだけどなあ。

 「最後は、子どもの考える力で、立ち向かっていこうじゃないか!失敗したって、良いよ!失敗して転んで、立ち上がれたところに、求めていたものが、見つけられるんだもの!」

 そういって、見守ってくれるのなら、まだまし?

 でも、こういうのは、いや。

 「大人の力を、貸そうじゃないか!」

 上から目線で、気持ち悪いし。

 「私たち大人が、子どもの面倒を、見てやろうじゃないか!大人は、子どものことを、わかっているからね。安心、しなさい!」

 ちょっと、待った!

 ムリ。

 激しく、ムリ。

 安心、できません。

 「いやなら、逃げてしまえば良い」

 むしろ、そういうアドバイスをしてもらえたほうが、生きづらさをなくせるような気がします。

 「逃げないで、戦いなさい」

 そんなアドバイスは、古いんだ。

 ただし…!

 「逃げても、良いよ」

 「はい?」

 「戦わなくて、良いから」

 「はい?」

 それ言いすぎても、困るけれど。

 逃げるのが、当たり前の生き方になっちゃうからね。

 子どもたちを生きづらくしているのは、誰なんだ?

 「誰かに、相談すれば良い」

 …っていわれても、急に、誰かに相談されたら、困るか。

 「あのね…」

 「なあに?」

 「わたし、どうしたらいいかな?」

 「え?」

 急に言われたほうは、困っちゃいます。

 打ち明けられる関係がもてるのは、良いことだけれど。

 悩みを打ち明けられることで、新しい責任を押し付けられたと感じてしまう子も、出ちゃいそうで。






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