第5話 サンシャイン・スキー場2

 バンフを訪れて以来、連日サンシャインかレイクルイーズでスキーを楽しんでいた。果たして、何日続くかチャレンジしてみた。結果は12日。13日目に腰痛を発症してしまった。最初の9日間は順調。10日目は初めてスキー場で寒さを感じた。耳、頬、親指に冷たさ故の痛みを感じた。


 翌朝は午前9時で、気温ー16度。街中はそれ程でもなかったが、流石にスキー場は寒かった。北海道では、午前8時の札幌でー12度、早朝の釧路でー16度を経験してるのでそれ程驚きはしないが、3月1日でこの気温は流石にカナダだ。

 翌日、寒さの影響かは分らないが、サンシャインでの最後の一滑りの時、腰痛を感じた。(やばい!)慎重に下まで滑り下りたがマンションに帰ってからまた大変。ガチガチになった腰を風呂で温めてだいぶ楽になったと思ったら、真夜中には腰が立ったまま全く動かなくなってしまい、この後どうなる事かと…。家族全員が見舞いにバンフに集合した夢まで見てしまった。

 翌3月3日は、更に冷え込み午前9時でー19度。腰痛の為、低温スキーに挑戦できなく残念。連続記録は12日でストップし、そのまま3日間、インドア生活に陥ってしまった。


 こんな事でもなければ、マウントノーケイで滑る事はないだろうと思う。4日目、かなり楽になってきたので様子見にマウントノーケイに行ってみた。リフトを降りて振り返ると、バンフの街並み全体が美しい。

 初級者コースばかり、ゆっくり滑った。どうやら大丈夫のようだ。

 翌日も大事をとってマウントノーケイの初級者コースをゆっくりペース。


 翌日から又、サンシャインに戻った。


 ペアーリフトで時々、中国人、韓国人と一緒になることがある。初めの頃のある日、日本人かなと思い、「日本人ですか?」と声を掛けた事があった。怪訝そうな顔をするので改めて、"Are you a Chinese?" と訊いたら、"Korean." と返事が返ってきた。初めに何て言ったのか訊かれたので、"Are you a Japanese?" と答えたら、"hahaha....." と笑ってから、"No."と言ってきた。そこで、二人一緒に大笑い。


 結局最後まで、日本人と彼らの区別がつかず、毎回、"Are you a Chinese?" を繰り返していた。


 ペアーリフトでは生きた英会話の勉強ができ、海外ムード満点で日本では退屈だった時間が結構楽しかったように思う。

 英会話の新しい発見としてこんな言い方を知る事ができた。


 一つは時刻の聞き方。


 中学の時、"What Time is it now by your Watch?" 「あなたの時計では今何時ですか?」と習ったのが頭にこびり付いていた。しかし、ここでは必ずこう言っていた。"Do you have the Time?" 「時計持ってる?」っていう感じかな?

 結局、カナダ、アメリカを通して一度も、"What Time is it ?" は聞かれなかった。


 旅が進んで、プリンスエドワード島のゲストハウスで一緒だったカナダ美女から、時刻を聞く時は、"Do you have the Time?" 時間があるか尋ねる時は、"Do you have Time?" だと教えられた。つまり、ナンパする時は、"Do yo have Time for Tea?" と言う事か。


 もう一つは、何かが得意と言う場合。


 これも中学の時、英語が得意と言うなら、"I am good at English." と習った。この要領で、リフトの相手に、"Are you good at skiing?" と聞いてみた。これで、十分通じた。カナダ人はヘタな謙遜はしません。 ”Yeah, I,m..."とわりかし自信がありそうな返事が返ってきた。

 でも、向こうから聞いてくる場合は必ず、"Are you a good Skier?" だった。自分には、good Skierと言うと、技術よりも人徳に優れたスキーヤーを思い浮かべてしまうが、この言い方にもやがて慣れてきた。

 それからは、自分もこの言い方をするようにした。

 

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