4章80話 本物の双子として2
千奈はマナスを探して訓練場の近くを走り回っていた。
「どこに行ったのー!マナーー!マナーーーー!!」
「ダメだどこにもいない。もっと遠くに行ったのかな?でも部屋まで戻るわけないし、、、あ,あそこかも。」
千奈が向かった先は屋上だった。
「やっぱりここにいた。全く,急にいなくならないでね!探したんだから。」
「マスター、、。どうしてここに?」
「魂の世界に2人でいた時現実世界に戻ったら何がしたいか話したでしょ?その時マナスが空が見てみたいって言ってたのを思い出したの。」
「そうでしたか。」
「ねぇ,もし悩み事があるなら聞くよ?話してみてほしいな。」
「いえ、私の問題なので大丈夫です。ご迷惑お掛けしました。」
「大丈夫な訳ないじゃない!マナスは私の大切な人よ!そんなマナスが辛そうな顔してるのみて放って置けるわけないじゃない!」
「、、、、わかりました。話します。ただ私が勝手に悩んでいる事なので失望しないでください。」
「失望なんてしないよ!」
「マスター。私はマスターが魂の世界で呪いから身を守るため、誰か居てほしいと言う願いから無意識のうちに作り出した存在です。」
「うん。私はあの何にもない真っ白な世界で一人ぼっちだった。もう気が狂いそうで寂しかった。それで初めて呪いに襲われた時にマナスを作ったんだよね。」
「はい、それから私はマスターを守るために強くなろうと思いました。あの呪いから守るために強くなろうと。」
「うん、私が戦えないから守ってくれたり寂しい時にはお姉ちゃん代わりをしてくれたり、眠れないときはお母さんみたいに眠り歌を歌ってくれたこともあったね。」
「しかし、私は最後にマスターを守れず魔力を奪われてしまいました。」
「そんな事ないよ!マナスが私の身代わりに私に憑依して守ってくれたよ!」
「それでもです。私はあの呪いからマスターを守りたかった。そして、雪さんのおかげでマスターは助かりました。私はマスターが自由になってとても嬉しかった。もうあの呪いに苦しめられる事なく家族の元に帰れるのだと。」
「うん、とても雪さん達には感謝してる。でもそのことではないんでしょ?マナスの悩んでることは。」
「はい、私の存在意義はマスターを守ることです。それはあの世界では最後こそ守れませんでしたが出来ていました。ですが外に出て私は自分より強い人がいること、このままではマスターを守れない事を理解しました。」
「雪さんも綾さんも司さんも私たちより強いよね。でもそれでもあの人たちに追いつきたいと私は思ってる。マナスは違うの?」
「私はマスターを守ること以外の目的はありませんでした。ですが今日マスターと戦ってみて分かりました。私はマスターよりも弱いのだと。」
「そんな事ないよ!私より弱いなんてそんな事、、、。」
「私はマスターより強くなってマスターを守ることだけを考えていました。負けてしまった以上私は存在する必要が無いのではないかと考えると、、、、怖いのです。」
「私は必要ではないのではないか、私の存在意義は何なのか。そんな考えが頭をよぎるのです。マスター私はいつか私の手が届かない所にマスターが行ってしまうことが一番怖いのです!」
「そっか。そんなに悩んでたんだね。ごめんね。気づかなくて。マナス,私はね口にしたことはないけど強さとかそう言うの関係なくずっとそばにいてほしいと思ってるの。それは私の能力のこととか守ってほしいからとかじゃなくてあの何もない世界で怜姉と同じくらいマナスのこともお姉ちゃんだと思ってたからだよ。」
「そんな、私はただの力です!生き物でもないただの魔力の塊に過ぎません!」
「ううん、確かにマナスは私が作ったけどもう私はマナスのこと家族だと思ってる。マナスだって家で楽しそうにしてたでしょ?私はね。強くなって雪さん達に追いつきたい以上に今まで守られてきた分マナスのことも守りたいと思ってるんだ。だからさ、1人が前に出て戦うんじゃなくて2人で一緒に戦おうよ!」
「私はもうマスターを守る必要はないのですか?」
「うん、私を守るんじゃなくて私と一緒に戦ってほしい。成り行きとはいえ私たち双子でしょ?隣で支え合ってもいいんじゃない?」
「そう、ですね。私の存在意義も変えていかないといけないのかもしれませんね。ありがとうございます、マスター。これからは隣でマスターを支えていくことにします!」
「もう!双子だって言ってるんだからマスターじゃなくて千奈って呼んでよね!」
「マスターはマスターですから。これからよろしくお願いします、、、、千奈。」
「あ!今言ったでしょ!ほらもう一回!みんなの前では言えてるんだから!ほら!」
「言ってません!さっさと戻りますよ!」
「守る守るって言ってたんだから置いてくなーーーっ!待てー!」
「ふふふ!私の隣で戦うのでしょう?置いてきますよ!」
走り出す2人の姿は前の主従関係よりも強く結ばれより仲良くなったのであった。
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