1章16話 能力発動1
朝早くに起きた俺はバックに昨日買った戦闘用の服を詰めていた。
「お、早起きだね。紅さんも起きてきたから朝ごはん食べようか。」
父さんが階段を降りる後ろをついていってリビングに行くと朱音と母さんが朝ごはんの支度をしている最中だった。
「雪「雪姉おはよう」」
「おはよう」
息のあったあいさつに苦笑しつつ先に着く。
「ご飯食べたら早速訓練場に向かおうか。」
「雪姉の能力楽しみだなー。」と、父さんの言葉に反応した朱音だったがあいつは今日学校のはずだ。
「朱音、貴方今日学校のはずでしょ?連れてかないわよ。」
「そんなぁ〜」
まあ、平日なこともあって朱音の参加はなかった。能力発動できないかもしれないし。
そんな話をした後、俺たちは魔防隊の訓練場にきていた。
「ここが魔防隊の訓練場か、広いな。」
陸上競技場くらいの大きさの部屋で天井が吹き抜けになっている。しかも壁が真っ黒に塗られていた。わざわざ塗ったのか?
「ここの壁はどんな能力でもぶつけられるよう特別硬い魔物の素材を合成して作られた特別製だから遠慮なく能力を使えるんだ。真っ黒なのは色々な色の素材を合成してるからだね。」
壁の説明をされながら俺は能力を使いたくてうずうずしていた。
「もう待ちきれないって感じだね、まあ、教えるのは僕じゃなくて紅さんなんだけど。」
「母さんが?」
「うん、おそらく血液系の能力だろうからその方がいいと思って。能力が使えるようになったら僕が相手をするからそれまでは紅さんと練習かな。」
「そう言うわけだからここからは私が話すわね?まず能力を使うには魔力が必要なのはもう知ってるわよね?だから魔力を感じて操作することから始めましょう。」
魔力を感じるって言ったってどうするんだ?今の時点で全く感じないんだが。
「本来はへその下の丹田って場所に魔力を送ってあげて自覚させるんだけど血液系の能力の場合は心臓付近で送ったほうが効率が良いの。血液に魔力を込める感覚がわかりやすいからね。」
なるほど、理にかなってる。確かにそれならイメージしやすい。
「そう言うわけだから早速やるわよ。」
そうして、母さんは俺の胸に手を置いた。すると、体の中に何か入ってくる感覚がする。あったかい、まるで足りなかったものが埋まるみたいだ。
「多分全身に巡る血管にあったかい何かが入ってくる感覚がすると思う。これが魔力?」
「そう、それが魔力よ。後は自分の魔力を全身に流してみて。」
そう言うと母さんは俺の胸から手を離した。
(つまりこの温かいものを心臓に集めてそこから流すイメージでやればいいのか。)
すると身体中に魔力が巡る感覚がする。身体が重力から解放されたみたいに軽くなった。
「なんだこれ!体が軽い!」
「これが魔力操作の初歩【身体強化】よ。身体中に魔力を流せば身体能力が上がるの。練度を増せばもっと効果が上がるわ。ただ、」
そう言った母さんは突然俺の頭をチョップしてきた。
「いてぇ!?何するんだよ一体!」
いきなりチョップしてきた母さんに抗議する。びっくりして身体強化も切れてしまったじゃないか!
「ずっと身体強化してると魔力切れで倒れちゃうから止めたの。まだこれは魔力を操作しただけで能力じゃないし。自分で止められるかわからなかったから。」
「自分で止められたかもしれないだろ!?」
「この心臓でイメージするやり方の欠点なんだけど心臓ってずっと動いてるから止め方がわからなくなる人がいるのよ。だからごめんね?」
一応の納得はしたところで母さんが占い師が使っていそうな水晶を持ってきた。なんだこれ、占いでもするのか?
「とりあえず魔力を流してみてくれる?」
言われるがまま魔力を流すと水晶が光った。なんだこれ。
「何この水晶これで能力が分かるの?」
「いえ、これは関係ないの。後でわかるから後は能力発動だけね。」
何をしたのかも教えてくれないまま俺たちは訓練場の端にあった魔法陣のようなものの前まで来た。
「この魔法陣の真ん中に立ってじっとしてて。
しばらくすると目の前に門があるはずだから門を開けるのよ。」
「門?そんなものど、こ、に」
俺は急に眠気に襲われて倒れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます