4話:炎野アガットの初配信

同期との通話から2週間が経過した。今日は僕たちエターナル2期生の初配信の日だ。とても緊張する…


順番はアガット→雌黄→萌葱→玄→僕(アザー)の順番で、一人三十分ずつの配信となる。


僕が最後なんて… 大丈夫かなぁ…


アガットさんの配信は午後8時からだから僕の配信は午後10時…今は午後2時だからまだ時間に余裕がある…発声練習をしようかな…


いや、時間に余裕もあるし、一旦休憩しよう…



「んんぅ… あ、あれ僕寝ちゃったのか。今何時だろ?」


どうやら僕は寝てしまっていたらしい。時計を見ると…


「え、えぇ!?もう7時55分!?!?アガットさんの配信まであと5分しかない…」


い、急いでMetubeを開かないと!

アガットさんのチャンネルにいくと初配信の枠があったので、枠に参加した。


「ふ、ふぅ…間に合った…あ、始まる」


――――――――――


[アガットの初配信枠]

3622名が視聴中



『始まったかな?皆聞こえてる?』


〈きちゃ!〉

〈楽しみだなぁ〉

〈どんな子なんやろ〉

〈聞こえてるよ〜〉

〈ちゃんと聞こえてる!〉

〈聞こえてますよ〉


『お、ちゃんと聞こえてるのね。良かったわ。では改めまして私の名前は炎野アガットよ!今日は私の初配信に来てくれてありがとう、皆よろしくね』


〈よろしく!〉

〈声可愛いなぁ〉

〈ロリ!〉


『じゃあまずは私のプロフィールを紹介するわね!』


〈プロフィール〉

名前:炎野agate(アガット)

地球から遠い星にあるColorという世界に住んでいる女の子。Colorの世界では魔法少女をしていた。仲間達と一緒に、地球のネットの世界を盛り上げに来た。

性格:真面目で、皆をまとめ上げるタイプ

得意なこと:・・・

苦手なこと:歌、料理


『これが私のプロフィールね』


〈ロリで魔法少女なのに真面目なんやな〉

〈得意なこと・・・って事は、得意なことないんかw!?〉

〈歌苦手なんやぁ、料理苦手は分かるけども〉

〈魔法少女なのに魔法使えないの?〉


『ちょっと貴方達いろいろ言いすぎじゃない!?と、得意なことは皆をまとめ上げることよ!』


〈それ、性格に書いてあるしなぁ〉

〈今、思いついたやろw〉


『うぐぬぬ…』


〈要するに残念真面目系のロリ魔法少女ってこと?〉

〈そゆこと〉

〈同意〉

〈馬鹿な娘をそれでも愛そう…〉


『残念ってどういうことよ!? …まぁしょうがないわっ!時間も少ないし、タグを決めましょう。』


〈お、タグ決めか!〉

〈どうやって決めるん?〉


『もちろん皆に決めてもらうのよ!』


〈自分で考えないんかい〉

〈これだから残念ちゃんはさぁ…〉


『ほ、他のVTuberは皆で考えてるし別にいいでしょ!?』


〈まぁそやけども〉

〈真面目系名乗ってるのに、そこは真面目じゃないんやなぁと〉

〈馬鹿な娘をそれでも愛そう…〉


『本当にさっきから当たりが強くない!? それに何が「馬鹿な娘をそれでも愛そう…」よ!2回も言わないでいいわよ!……っハァハァ 疲れたからもうさっさと決めちゃいましょう』


〈りょーかい〉

〈流石にふざけすぎたわ〉

〈すみません、真面目に考える〉


『じゃあまずは一般配信タグを決めましょうか!』


〈アガットラジオ〉

〈炎野配信〉

〈アガットの部屋〉

〈残念ちゃんの配信活動〉


『うーん、マシなのが炎野配信かなぁ…じゃあ炎野配信でいっか』


〈おー!〉

〈マシなのてなんやねん〉

〈無難やね〉


『次はファンネーム決めましょう!』


〈俺らの名前か〉

〈残念ちゃんを応援隊!〉

〈残念ちゃんを見守る会〉

〈炎野のペット〉

〈ロリ魔法少女を愛でるやから〉


『良いのが一つもないわね!?まぁしょうがないから炎野のペットでいいわ。』


〈草〉

〈え、俺らペットになるん?〉

〈ペットならアガットちゃんに足蹴にしてもらえるってこと?〉


『するわけないでしょ!次行くわよ次! 次は…』


――――――――――


『ふぅ…配信タグをようやく付け終われたわね。もう20時29分ね。じゃあこれで初配信を終えるとするわ!次は雌黄の配信だから、概要欄から雌黄のチャンネルに飛んでね。』


〈了解〉

〈2期生唯一の男だからどんなのか楽しみ〉


『最後に…!! 私は残念真面目系のロリ魔法少女じゃないわ!私は残念じゃなくて普通よ!』


――――――――――

〈清水azure(中村るい)視点〉


「あ、アガットちゃんって残念系だったんだ。」


前回の同期全員で集まった通話以外にも、3回全員で通話をしたけど全然分からなかったよ。上手く隠してたんだね… まぁ通話ならそんな残念感を晒すことなんてないからなぁ。というかアガットちゃんは、自分が残念って気づいてないっぽいね…僕は大丈夫かな…

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