3話:同期と通話

午後の授業は特に何もなく終わり、もう放課後になった。僕は帰宅部だが海はサッカー部なので一緒に帰れない。ちなみに登校のときも海の朝練があるから一人なんだ。


「ただいま〜」


「るいちゃん、おかえり」


家に帰ってきたので、帰宅の挨拶をするとお母さんから返事が帰ってきた。


「マネージャーさんと練習があるから2階に行くね!」


「分かったわ。頑張ってね」


お母さんに一応マネージャーさんと通話で練習をすることを伝え、2階に上がった。


――――――――――――


「皆さんこんばんは、清水アザーです!」


「まだ、たどたどしい部分もありますが、最初よりはマシになりましたね。2日後の通話までにはある程度仕上げるようにしましょう」


「分かりました!」


マネージャーさんとの練習を終え、晩ご飯を食べてからお風呂に入って歯を磨き部屋に戻ってきた。


「まだ口調はだめな部分も多いけど、声の高さは結構良くなってきた! この調子でいけば大丈夫なはず!」


僕は、気分がよくその後すぐには寝れなかったが、推しのVTuberのASMRを聞いていたら眠りに落ちた。


――――――――――


そして6日経って同期との通話の時間になった。

この6日間は学校に行って帰ってきてからマネージャーさんと練習という日々を過ごしてきた。


この6日間の練習の成果を出すときが来たね!


スマホを確認すると、僕以外の人達が既に通話に入っていたので、僕も早く入らなきゃ!


「アザーが入ってきたわね」


「ようやく来たか」


「皆来たんだよ!」


「よろしくのぉ」


「では全員揃ったので、とりあえず自己紹介をしましょうか。私はマネージャーの斎藤琴葉です。皆さんのスケジュール管理やサポートをしますのでよろしくお願いします。」


マネージャーさんの名前って琴葉だったんだ…一週間も一緒に練習してたのに知らなかったよ…

今度からは琴葉さんと呼ぼうかな


「では、次は私がしましょうか。私は炎野agate(アガット)よ。皆と同期になれてとても嬉しいわ。皆と仲良くなりたいから、困ったことがあったら何でも言ってね。よろしくね。」


アガットさんは強い赤色の髪のツインテール、瞳は薄い赤色でキリッとした目付きだ。魔法少女の服を着ており、身長は低く、8歳くらい。

見た目はロリでツンデレ感あるけど挨拶を聞いている限りしっかりものみたいだなぁ… 人は見た目では分からないんだなって思ったよ…


「次は俺が行く。俺の名は向日雌黄(しおう)だ。特技はゲーム、ゲームに関しては誰にも負けん!よろしく頼むぞ」


雌黄さんは2期生唯一の男(アザーは女性という扱いだから)で明るい黄色の髪をオールバックにしていて、瞳は薄い黄色で目付きが怖い。

黒を基調としたフード付きコートを着ていて、身長は180cm後半らしい。見た目と一緒で俺様系みたいだね!


「私は森萌黄(もえぎ)って名前なんだよ!いっぱい喋ることが好きだから、皆とも沢山はなしたいんだよ!!よろしくなんだよ!」


萌黄さんは暗い緑色の髪をセミロングにしていて、瞳は黄緑色で目元が垂れていて眠そうだね…

服は巫女服を着ていて、身長は僕と同じくらいでとにかく胸が大きい。すごく大きい。

眠そうな顔をしているのに声が元気で可愛らしいんだよ!! あっ口癖移っちゃった…


「わしの名前は暗雲玄(げん)じゃ、得意なことは絵を描くこととかかの。よろしくたのむのぉ」


玄さんは、真っ黒な髪をお団子で留めていて、茶色の瞳をしている。口調が年老いてるのに声は綺麗で見た目はチャラいピチピチなJKなんだ。

名前が男っぽいし、口調と見た目が違い過ぎる… 個性が強いなぁ



あっ…次は僕の番か… 頑張るぞ!

女性の口調で…声は高めに… よしっ!


「わっ…私の名前は清水アザーでしゅっ…!得意なことは歌とかピアノです!わ、私も皆と仲良くなりたいのでよ…よろしく…おねがいシ…マ…ス」


あ、あぁぁぁ… 途中噛んじゃったし、恥ずかしすぎて、最後は声小さくなっちゃった… 最悪だもう…


「か、可愛いわね!」


「うむ、可愛いわい」


「はい、とても可愛いかったですね。これで男なんだから驚きですよね」


「え…!?琴葉さん、言っちゃうんですかそれ!?!?」


ぼ、僕が男って皆に教えちゃっていいの!?


「はい、大丈夫です。それに同期でアザーさんが男だと教えずに活動しても、本社で一緒に動画を収録するときにバレると思うので今伝えました」


「え…こ、こんな可愛い声で男なの!?嘘でしょ…?」


「男だと気づけなかったな、俺としたことが…」


「私も全然分からなかったんだよ!」


「うむ、可愛いわい」



お、教えるなら先に言ってほしかったなぁ…

で、でも一応皆僕の声に違和感を感じなかったってことだよね… ならよかったのかな?


「では、全員の自己紹介が終わりましたので次の話をしますね。配信機材は明日皆さんの家に送りますので、設置や機材の設定の仕方が分からないのなら私に相談してください。皆さん2期生の初配信は今からニ週間後です。それまでの期間は、発声練習や配信の段取りを決めておいてください。」


「分かったわ」


「俺は機材の設置や設定が出来ないほど間抜けじゃないぞ」


「私は分からないから教えてもらうんだよ!」


「わしはずっと発声練習でもするかの」


ぼ、僕も機材とかよく分かんないや… 萌葱ちゃんと一緒に説明を聞こうかなぁ…


「萌葱ちゃん…私も機材とかよく分からないから一緒にやってもいい?」


「アザーちゃん!もちろんOKなんだよ!」


「あ、ありがとう!」


萌葱ちゃんとはすぐに仲良くなれそうでよかった…




こうして僕は、自己紹介で噛んだりしつつも無事同期との通話を終えれた…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る