第20話 歓迎会のプレゼントは何がいい?
部屋に戻ってきた秋に白桜さんは言った。
『渡した仮面喜んでくれただろ。カッパ人からしたら仮面サーカス団の仮面は貴重な物なんだよ。私も数十年前に同じように仲良くなったカッパ人に仮面を渡したら喜ばれたよ。でも、辛いのは仲良くなっても私たち仮面サーカス団は違う街へツアーを回らなければいけないんだ。それが、1番辛い。秋も仲良くなった子に挨拶したか?』
秋は白桜さんに言った。
『仮面渡したら喜んでくれました。挨拶もしたし、色んなことも話しました。僕が仮面サーカス団の人だと知ると目を輝かせて、僕に色んな事を尋ねてきて大変でした。でも、もうお別れが近いと思うと悲しくなります』
そんな話をしていたら、玉田団長が部屋にやってきて言った。
『2人に話がある』
僕らは深刻な話だと思い、ドキドキしたが話は斜め上の事情だった。
玉田団長は言った。
『雄大と秋の歓迎会をしていないだろう。明日がこのカッパ街を去る最後の日だから、明日はイベントが終わったら歓迎会をやらないか?』
真面目に言う玉田団長に白桜さんは笑って言った。
『玉田団長、真面目な事を真面目に言わないで下さいよ。驚いちゃいましたよ。ねぇ、秋』
秋はうん。と頷いた。
玉田団長は耳を真っ赤にして言った。
『歓迎会は夕方から始めようと思う。だから、明日のイベントは朝にしようと思う。お客さんもあんまり来ないと思うが、気を抜かずに頑張って行こう』
そう言って、玉田団長は部屋から出て行った。
白桜さんは椅子に座って考え事か何かをしてから秋に向けて喋り出した。
『秋、秋の好きなものは確か肉じゃがだったよね。明日は玉田団長に肉じゃがをいっぱい出してもらおう。それから欲しいものとかある?それを作ってあげるよ』
秋は驚いて言った。
『肉じゃが...いっぱい出してくれるんですか?嬉しいです。うーん、欲しいもの?それじゃあ、ここでしか生み出せない時計が欲しいです』
白桜さんはいいよ、作ってあげる。と言った。
白桜さんは続けて言い出した。
『時計ってもしかして、この前のカッパ人になれる時計とは違うものが欲しいってことかな?』
秋は頷きながら言った。
『あの時、初めてカッパ街へ行った時、怖かったことと時計に傷をつけてしまった事を今でもごめんなさいって思ってて、でもその時計は魔法で直ったのを知って良かったと思ったんですけど、今度は白桜さんの持ってる時計を借りるんじゃなくて自分の時計が欲しいんです』
白桜さんは笑って言った。
『分かったよ。この世にここでしかない時計を作ってやるよ。明日の夕方まで待ってろよ。あとは雄大か、雄大は何が欲しいんだろ』
そう言って白桜さんは雄大のいる部屋へと言ってしまった。
同じ見習い雄大の欲しいものとはなんだったのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます