第19話 秋、どこで何してるの?
秋がいなくなってから5年の月日が経った頃に父親へ電話があったこと自体が周りは信じられないでいた。
秋の唯一の親友であった藤堂優太は秋に会いたがっていた。
秋の父親が会えるなら、俺にだって会える確率が高いのではと思っていた。
それなのにあの噂の電話ボックスにお金を入れて番号を入力しても聞こえてくるのは無音だった。
一体、あいつはどこで何をしているんだよと腹が立つ。
生きているなら俺にだって連絡ぐらいよこしたっていいだろうとさえ思っていた。
俺があいつにこの電話ボックスのことを伝えなければ、一緒に笑って公園で遊んでいたのかなって思う時もある。
噂話なんて言わなきゃ良かったとさえ思った。
でも、秋はこの電話ボックスから消えてしまった。
ここから始まったのなら帰ってくる時もこの電話ボックスから終わるのではないかと、朝から晩まで電話ボックスに張り付いたこともあるけど、結局秋が戻ってくることはなかった。
秋が戻ってきた時は絶対に抱きしめてこの世から離さないと決めていた。
そんな彼の心情とは、裏腹に秋はあの世でイベント準備をしていた。
ついに今日はイベントの日を迎えた。
お客さんはみんな頭に皿を乗せてるカッパ人に秋は興味と恐怖が入り混じっていた。
白桜さんとともに仮面を被り、お辞儀をして秋が白桜さんに氷を渡し、白桜さんはその氷を投げて水にして雨に変えて、カッパ人の前に雨が降った。
カッパ人はその光景に拍手喝采だった。
カッパ人にとって雨は恵みの雨だった。
僕らは一通り魔法を見せた後に、その場を立ち去る時にあのカッパ街で一度遊んだ子たちがいた。
イベントが終わり、カッパ街で見たあの子たちに挨拶してきていいですか?と白桜さんに言った。
白桜さんは魔法も何もない仮面を渡して言った。
『これを渡してきなさい。きっと喜ぶはずだから』
僕は白桜さんに貰った仮面を持って、カッパの子の元に言った。
僕は彼らに声を掛けた。
『あの...結構前に一緒に遊んだんだけど覚えてる?』
カッパ人の男の子は大きな声を出して言った。
『あー、一緒に遊んだ面白いやつ?あの後、君ともっと遊びたかったのに、遊べなくて残念だった。なあ、そうだよな』
カッパ人の女の子は頷いた。
秋は謝り、仮面を渡した。
『これ、良かったらあげるよ』
カッパ人の男の子は嬉しそうに仮面を見て、カッパ人の女の子は仮面をじっと見つめて2人は同時に言った。
『『仮面サーカス団の人だったの?』』
秋はびっくりした。
目を輝かせる彼らに驚いたからだった。
秋は仮面サーカス団の凄さを知った瞬間だった。
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