第17話 肉じゃがの思い出
昼休みになり部屋に団長、団員、見習いが集まった。
そこには礼夢や雄大の他に知らない団員が居た。
白桜は秋に紹介した。
『秋、彼は駿太(しゅんた)。ここのエースだ。よろしくね』
秋は彼にお辞儀をして言った。
『秋です。よろしくお願いします』
すると駿太はにっこり笑って言った。
『ゴマみたいに小さくてかわいいね。駿太です。よろしくお願いします』
昼ごはんは団長が魔法で団員が好きなものを出してくれた。
団長は秋にニコニコしながら言った。
『秋、好きなもの言いなさい。なんでも食べ物だったら出してあげるから、何か食べたいものはあるか?』
秋は少し考えてから言った。
『じゃあ、肉じゃがが良いです』
秋は魔法で出してもらった肉じゃがをほおばった。
そんな彼に白桜さんは聞いた。
『なんで肉じゃがが良いんだ。他にも食べ物は沢山あるじゃないか。例えば肉とか私だったら迷わず焼肉とか食べたいと言ってしまうが、何故肉じゃがを選んだんだの?』
すると秋は肉じゃがのじゃがいもを噛み砕き飲み込んでから言った。
『だって、僕の家は母が家に帰ってこなくなって父も家にいなくて、お腹すいた時によく行っていたおばあちゃんの家で初めて温かい物を食べたのが肉じゃがでした。だから、肉じゃがが食べたかったんです』
それを周りは聞いて、シーンと静かになってしまった。
その様子に秋は気まずくなり、言った。
『でも、僕の家は基本的に色々あったけど、僕は父さんのことも母のことも好きでした。今の父の再婚相手は母とは認められなかったけど、僕は家族に愛されたかった。でも、今はこのサーカス団が僕の大切な家族です。だから、そのなんだか変なこと言ってすみませんでした』
すると礼夢は拍手をして言った。
『どんなに辛いことがあっても、私たちは友達でもあり家族だよ。変なことなんて言ってないよ。それに、秋がいなきゃ現世のことも分からなかった。秋がいてくれて良かったよ』
駿太は秋の肉じゃがをつまみ食いして言った。
『ウマッ⁉︎これが肉じゃがというやつか。いや実はさ、俺は元々馬から転生してきて、人間が作る食べ物食ったこと無いんだよ。でも、これは上手いな馬の時に食べてたにんじんより美味いかも。今度さ、現世で流行ってる言葉とか物を教えてくれないかな?俺、いつか現世に行って観光するのが夢なんだ。そのために、今のうちに徳を積んでいつか団長のように苗字を取って現世に行きたいんだ。今はエースとか言われてるけど、いつかは団長を超えたい』
そんな話をしていると玉田団長はハハッと笑い言った。
『駿太、いい夢だな。お前なら私を超えられるはずだ。超えてみなさい』
駿太は超えてみせますといい、みんながいる前で宣言したのだった。
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