第14話 玉田団長の想い

玉田隆久(たまだたかひさ)、これが私の名前だ。

この仮面サーカス団を作ったのは20年以上前だった。昔はサーカス団に団員はいっぱいいたが今は数人しかいない。

その理由はお金の問題でもこのサーカス団が悪いわけでもない。

ただ単に誰かを魅了する力が足りなかっただけだった。

玉田という姓は仮面サーカス団の功績が認められたことでくれた姓だった。

どのツアーでも姓を名乗れば目上の人だと分かってくれることが今では玉田団長にとって唯一の優越感になっている。

さて、本題はなぜ秋を見習いとして採用したのか。

それは、同情でも家族のことで苦しんでいることから採用したワケでもない。

ただの好奇心だった。

秋がこの先どのように成長していくか、そして他の団員との相性など色んな側面で見た時プラスになると思ったから採用したのだった。

団員には何も言ってないが、秋は度胸があるとなんとなく団長は思った。

その度胸が今後役立つのではとも思った。

周りは年齢が若すぎると言うが、11歳は魔法を覚える上で丁度良い時だとも思った。

やはり、年齢が上になるとその分やることもすることも色々あり、覚えきれない部分があると魔法を使う上で致命的な欠点になるからだった。

ただまだ若い。若すぎると周りは言うだろう。そんな彼が周りを黙らせることができて初めて、秋は一人前になれるだろうと団長は思っている。

そのために、白桜とチームを組むことが重要なんだ。

彼と組んで魔法もやることも覚えることが見習いの今大切なことなんだ。

今はただ見守るしか私には出来ないが、早く一人前になってほしいと孫のような目線で秋を見ている。

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