13 小梅崎さんが遊びに来ました

 さて、高校生活が始まってから最初の日曜日を迎えた。

 俺はというと、朝から三つ子幼女の妹たちの相手をしていた。


「さーて、どこにあるんだろうね?」


「んー、どこー?」


 由奈のお願いで、『コービーを探せ』という絵本を一緒に読んでいた。

 といても、これは幼児向けの間違い探しタイプの絵本なのだが。

 俺の周りでわちゃわちゃしながら、三つ子の妹たちは楽しく絵本を読んでいた。


「あー、あったー」


「ここだー」


「みつけたー」


「おっ、三人同時に見つけたな、えらいぞー」


「「「えへへー♪」」」


 間違い探しの要素で目的のキャラの絵を同時に見つけたので、俺は由奈、愛菜、陽愛の順で頭を撫でてあげた。

 もちろん、撫でてもらった三人は天使のような笑顔を浮かべていた。


(本当に可愛いよなぁ)


 一緒に住み始めて約一か月が過ぎたけど、この三つ子の幼女達といる時間帯はかなり充実していると思う。

 寝る時もローテーションで一緒に寝るのだが、寝顔の可愛さは三人共通だ。

 そんな三つ子の可愛らしさを堪能していた時に、玄関のインターホンが鳴った。


「お、来たか」


「にーたま、かれんねーたまがきたの?」


「ああ、みんなでお姉ちゃんを迎えに行くぞ」


「「「あい♪」」」


 そう、今日の休日は小梅崎さんが来る事になっているのだ。

 実はと言うと、二日前からメールや学校でのやり取りで陽愛達を遊ぶために家に来ると約束を取り付けたのだ。

 父さんも小梅崎さんが来るという事を聞いた時に懐かしく感じたようだ。

 関わり合いが少なかったとはいえ、お互いが覚えているようで、複雑な気分ではあるが。


「やぁ、彼方くん。 来たよ」


「ああ、ようこそ小梅崎さん」


「かれんねーたまー♪」


「かれんねーだー♪」


「おねーたーん」


「あらあら、三人とも元気だねぇ。 特に由奈ちゃんは」


 三つ子の幼女の妹たちと共に玄関にて小梅崎さんを出迎える。

 陽愛達は、すぐに彼女の元にとてとてと駆け寄っていき、小梅崎さんは優しく受け止める。

 やっぱり人懐っこいよなぁ。


「やあ、花蓮ちゃんよく来てくれたね」


「お久しぶりです、勝次さん。 あの時は両親がご迷惑を……」


「いやいや、悪山の仕掛けが狡猾だったのと、今までが順調すぎたからね。 気にする必要はないよ」


「まぁ、とにかく上がってくれ。 陽愛達と遊びたいんだろうし」


「そうだった。 では、お邪魔します」


 父さんと彼女の面識は、やはり例の会社絡みだったか。

 それはともかく、時間が惜しいので彼女にはさっそく上がってもらう事にした。

 靴を脱いで上がる時に三つ子の妹たちは邪魔しないように素直に道を開けていた。


(陽愛も由奈も愛菜も幼いながらしっかりしている部分もあるんだなぁ)


 心の中で感心しながら、俺は彼女を陽菜や由奈、愛菜と共に遊具や絵本がある部屋へと向かった。


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