11 幼馴染の真相と陽愛の添い寝
「家を追い出されたってどういう事なんだ?」
一瞬混乱した頭を整理した俺は、三太に改めて聞いてみた。
『羽田が付き合っている男が、悪山という悪名高いブラック思想の御曹司だと判明したようでござる。 羽田の両親が務めている会社は別の会社でござるが、一時敵対的TOBをやらされそうになったようでござる』
ん?
その話、小梅崎さんに聞いた話に似ているが……?
『そこはさらに別の会社が手を差し伸べてくれたおかげで、事なきをえたのでござるが、危険だと判断した財閥と株主は、顔写真とともにブラックリストとして全社員にも共有していたのでござる』
「なぁ、三太。 その会社って小梅崎財閥が抱えていた会社じゃないか?」
『そうでござるが、何故それを?』
「入学式の時に友達になった少女がその娘さんでな。 彼女からもそういう話を聞いて来たばかりなんだ」
『なんと……!』
隠す必要もないので、そう伝えたところ三太は驚いたようだ。
「つまり、羽田の両親は悪山の危険性をしっているのに、娘は付き合っているという事で追い出したのか?」
『そのようでござる。 別れるように言ったが、羽田の友人や悪山が余計な事をしたらしいから』
なるほどなぁ。
見た目で付き合うべきと言う友人がいたのならそりゃ拗れるな。
『とにかく、今後の流れ次第では羽田がよりを戻そうとして絡んでくる可能性が強いでござるから、気を付けるでござる』
「ああ、分かった。 気を付けるよ」
『こんな時間に済まなかったでござる。 それでは失礼するでござる』
そう言って三太との通話を終え、布団を敷いて横になる。
いつもはベッドなのだが、三つ子幼女の事を考えてあえて布団にしている。
(しかし、意外な繋がりがあったとはなぁ。 小梅崎さんが話していた会社に羽田の両親が勤務しているとは)
幼馴染の事は、今後あまり関わらないようにと考えていたのだが、あんな奇妙な繋がりがあると何らかの形で関わってしまう可能性もある。
特に悪山の本性が露呈した時、あいつがよりを戻そうと俺の元に来る事だって否定できない。
そうならないように、幼い妹たちに悪影響を及ぼさない形で解決していくしかないだろう。
「にーたまー」
「ん?」
そんな事を考えていたら、陽愛が俺の部屋にやって来た。
可愛らしい動物のパジャマを着て、枕を持って俺の部屋に来たのだ。
「どした、陽愛?」
「ひな、にーたまといっしょにねたいでしゅ」
「由奈や愛菜は一緒じゃないのか?」
「まなやとーたまと、ゆなはママといっしょ」
「そっか」
由奈は母さんと、愛菜は父さんと一緒に寝るという事で、今日は陽愛が俺と一緒にという事だろう。
「きょうはひながにーたまといっしょにねて、あしたはまながにーたまといっしょなのでしゅ」
「順番にって事か」
「あい」
「分かった、一緒に寝よう」
「わーい♪」
陽愛がギュっと抱き着いてくるその姿に可愛いと思いつつ、俺は布団の中に陽愛と一緒に入る。
そういえばこうやって添い寝するのは初めてだな。
「えへへ、にーたまおやしゅみなしゃい♪」
「ああ、おやすみ陽愛」
陽愛にギュっとされたまま俺も陽愛も眠りに入る。
小さな温もりに癒されながら、俺はゆっくり瞼を閉じた。
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