09 三つ子幼女を迎えに行きます
「着いた。 ここが『あいの山保育園』だよ」
「ここに、再婚した際に出来た三つ子の妹ちゃんがいるんだね」
「ああ。 母さんが今日は遅くなるらしいから、今日のように俺が迎えに行く事もあるからな」
「確かに、それなら部活どころじゃないね」
学校から近い公園にて、夕方になるまで色々話をし、夕方になった所でここ『あいの山保育園』へ陽愛達を迎える為にやって来た。
小梅崎さんも子供が好きな為か、かなり楽しみにしているみたいだ。
「さて、行くか。 こんばんは」
まず、陽愛達を迎える前に保育士の人に挨拶する。
でないと、このご時世下手したら変質者に間違われるからな。
「あら、彼方くんこんばんは。 陽愛ちゃん達を迎えに来たのかな?」
「はい。 今日は友達も一緒ですが」
「ええ、分かったわ。 陽愛ちゃん達を呼んでくるわね」
そう言って保育士の女性は陽愛達を呼びに行ってくれた。
少しして、その保育士の女性と一緒に陽愛達がこっちに来た。
帰る準備も終えていたみたいだ。
「あー、にーたまだー♪」
「にーに、きてくれたのー?」
「わーい、おにーたーん♪」
「ああ、お兄ちゃんが迎えに来たぞー」
嬉しそうにしてぽてぽてと向かって来る陽愛達を俺は優しく受け止める。
「三人ともいい子にしてたか?」
「「「あい!」」」
「本当にこの子達、いい子だったわ。 きちんと言う事を聞いてくれるし」
保育士の女性も陽愛達の事を高く評価していた。
由佳里母さんの教育の賜物なのだろうか、きちんと保育士さんのいう事は聞いていたみたいだ。
「ねー、おにーたん」
「ん? どうした愛菜?」
「あっちのおねーたんはおともだち?」
愛菜が小梅崎さんに気付いたのか、俺のズボンをくいくいと引っ張りながら聞いて来た。
もちろん正直に答える。
「ああ、お兄ちゃんの友達だよ」
「あはは、微笑ましくてぼーっとしてたよ。 小梅崎 花蓮っていうんだよー。 よろしくね」
「かれんおねーたん、よろしくー」
「わっとと、本当に人懐こいね。 よしよし♪」
笑顔で挨拶しつつ、小梅崎さんに抱き着く愛菜を彼女は受け止めて、頭を優しく撫でる。
「かれんねーたま、ひなもー」
「ゆなもかれんねーをぎゅってするー」
「あはは、陽愛ちゃんや由奈ちゃんもかー」
「愛菜はお兄ちゃんの方にいようか」
「うん!」
先に小梅崎さんに抱き着いた愛菜を俺の方に居させて、陽愛や由奈のスキンシップを見守る。
彼女が子供好きなのは、本当の話だった。
抱きついて来た由奈や陽愛にも、優しく接してくれているのだから。
「おーい、そろそろ帰るぞー」
「「「あーい!」」」
十分楽しんだ三つ子を見てそろそろ帰ると声を掛けた。
すぐに俺の手を小さな手で一生懸命に握ってくる。
「それじゃ、そろそろ帰ります」
「ええ、明日もよろしくとお母さんにも伝えておいてね」
「分かりました。 伝えておきます」
保育士の女性にそう言って、俺と小梅崎さんは陽愛達を連れて『あいの山保育園』を出た。
小梅崎さんも途中まで陽愛達の手を繋ぎながら、一緒に帰った。
どうやら、彼女の家と俺の家よりさらに向かい側にあるようで、別かれ際にメールアドレスや電話番号の交換をした。
そして、陽愛達にもまた遊ぼうと約束して小梅崎さんも帰って行った。
「さて、おうちに入ろうか」
「「「あーい♪」」」
三つ子の幼女が俺の傍に居させ、鍵を開けて自宅に入った。
それにしてもかなり濃い入学式だったかもしれない。
小梅崎さんと友達になったし、今後もいい事があるといいな。
そう思いつつ、俺は手洗いを終えた三つ子の幼女の頭を撫でていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。