08 小梅崎さんとお話~イケメン男に絡む事実 ~
「小梅崎さんはこのイケメン男を知ってるのか?」
俺を振った幼馴染の件で、未練がましく失恋する前に撮った幼馴染の羽田とイケメン男がいい雰囲気で付き合っている様子を小梅崎さんに見せた途端に表情を歪めた為に、念のため知っているのかを聞いてみた。
「知り合いも何も……、入学式前に話した私の家族が抱える複数の大企業の一つの会社がトラブルに巻き込まれた件、そいつの家系が関わっていたんだよ」
「え、マジ……!?」
「大マジさ」
いや、まさか小梅崎さん家族が抱える大企業の一つが巻き込まれたトラブルにあのイケメン男の家系が関わっていたとは全く予想ができなかったんだが……!?
「奴らの家系の会社……、
「そこまでするのか」
「悪山コンツェルンの現在の取締役が、リモートワークや定時上がりや有給休暇を嫌ってるからね。 労基法を犯してでも自分たちの考えを押し付けたいんだよ」
なんかとんでもない流れになってきたな。
「なら、父さんもそれに関わっていたと……」
「そうだね。 その時は急な敵対式TOBの発生でお父さんやお母さん、そして株主達も焦ってたからね。 そこに勝次さんがアドバイスをくれたおかげで無事に回避できたんだよ。 うちが抱える大企業はなまじ順調すぎて、こういった敵対的TOBが来る事を想定してなかったからね、情けない事に」
「父さんはどんなアドバイスを?」
「ホワイトナイトという対策を教えて貰ったんだって。 これ、買収対象……この場合は私達の家族が抱える企業が自らにとって友好的な第三者である会社に、敵対的買収者より有利な条件、いわば高い株価で株式公開買付を実施してもらい敵対的買収者を退けることらしいよ。 紹介してもらった勝次さんの友人の会社もうちの企業の株を持ってたしね」
父さんはそんな事をアドバイスしていたのか。
「結果、無事にホワイトナイトは成功し、悪山コンツェルンの敵対的TOBを退いたんだよ。 勝次さんのアドバイスがなかったら、その会社はブラック企業に変化させられていたからね」
小梅崎さんの家にもそんな凄まじい出来事があったなんてな。
しかも、それに父さんが関わっていたとは。
「その悪山一族の息子の
そんな男が羽田と付き合っていたとはなぁ。
まぁ、もう羽田に関してはどうなろうと知った事ではないが……。
「その悪山が彼方くんの幼馴染と付き合っているのだから、その幼馴染は見る目がなかったのかもね。 多分、友人が絡んでるかもだけど……」
そう言えば、羽田の友人の何人かは俺よりもイケメンな男と付き合った方がいいと言っていた気が。
あいつらは中味より見た目で付き合うべきと主張していたからな。
「おっと、長話してたら夕方になったね」
「みたいだな。 妹達を迎えに行かないとな」
「じゃあ、私も一緒に行くよ。 その子達をお目にかかりたいしね」
「分かった。 一応、会わせるだけだからな」
「了解♪ じゃ、そこの公衆トイレで用を足してくるよ」
そう言って小梅崎さんは、近くの公衆トイレに行く。
しかし、かなりの情報量で、頭が追い付かないな。
ただ、小梅崎さんと話す時間はある意味有意義だった事は確かだ。
「お待たせ」
「よし、じゃあ行こうか」
トイレから戻って来た小梅崎さんと一緒に、陽愛達がいる『あいの山保育園』へと向かった。
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