07 小梅崎さんとお話~何気ない会話~
入学式の後のホームルームも終わり、部活見学の時間となった。
と言っても、今日は入学式の日なのでホームルームが終わった時点で放課後扱い。
なので、部活見学はせずにこのまま帰宅するのもありなのだが、今日は由佳里母さんのパートが終わる時間が遅めなので、俺が陽愛達を迎えに『あいの山保育園』に寄ることになる。
「あれ、彼方くん? 今日は帰るのかい? 部活見学は?」
帰宅の準備をしている所に、小梅崎さんが声を掛けて来た。
「俺は事情があって部活に入るつもりはないからな」
「まぁ、確かに部活は強制ではなく任意だけど……事情って?」
「学校を出たら話すよ。 それで小梅崎さんは?」
「まぁ、私も部活に入るつもりはないかな? 今のところは。 それに部活見学は今日を含めて二週間はあるしね」
「ここあいの山学園ならではかね。 じゃあ、帰るか」
「うん、帰ろう」
部活に入る予定がない俺と小梅崎さんは、すぐに学校を出た。
小梅崎さんが言うように、部活見学はこの『あいの山学園』では二週間の時間があるから、そういった意味では救いだろう。
学校を出た後、そのまま近くの公園のベンチに座って時間を潰すことにし、そのまま彼女に俺の事情を話した。
「へぇ、勝次さん再婚したんだ」
「ああ、丁度今の母さんとは過労死などの労基法関連で知り合い、色々やっていくうちに惹かれてってやつかな」
「じゃあ、今の彼方くんにはその幼い三つ子の妹ちゃんがいるわけだね」
「そういう事。 今日は特に夕方になったら迎えにいってやらないといけないしな」
「いいお兄ちゃんじゃないか」
「からかうなよ」
「褒めてるんだよ。 私もその子たちにお目に掛かりたいよ。 子供が好きだからね」
「可愛いぞー。 兄バカ補正抜きでもな」
陽愛達三つ子について話す俺はかなりテンション高めだったようだ。
でも、小梅崎さんも子供が好きなようで、話が合いそうでよかったと思う。
人懐っこくて可愛いから、すぐに仲良くなれると思う。
「それで、いつ再婚したの?」
「俺が公立受験に失敗した直後かな。 当時は失恋のショックを引きずっていたからな」
「失恋? 付き合ってた子がいたの?」
「ああ、幼馴染だった奴さ。 俺以上に好きな人が出来たって言って受験前に失恋した」
「何と言うタイミングで……」
まぁ、そうだろうな。
まさかの受験前のタイミングでの出来事だったからな。
結果的にそれのショックを引きずったが為に、公立校は不合格になったのだから。
「それで、その幼馴染は誰と付き合っていたんだい?」
「ああ、丁度スマホに保存している奴があるから……っと、こいつだ」
俺は保存していた失恋する前の幼馴染の羽田がイケメン男と付き合っているという様子を写した画像を小梅崎さんに見せる。
すると、彼女の表情が歪み始める。
どうしたんだ?
「まさか、ここで
どうも小梅崎さんは、このイケメン男を知っているみたいだった。
表情からして、悪い意味で。
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