06 小梅崎 花蓮
「えっと……確かにそうだけと、君もか?」
「そうだよ。 私も中学は別の学校だったけどね。 高校はここに合格したからね」
俺にいきなり声を掛けてきた少女は、俺と同様に中学は別の学校で、高等部から入学すると言った。
「そうだ、名乗ってなかったね。 私は
小梅崎?
聞いた事がある名字なんだが……。
そう考えながらも俺はひとまず名乗る事にした。
「俺は……、
「桂川……! そっか、君があの天才弁護士の息子さん……!」
「そうだけど、父さんを知っているのか?」
小梅崎さんは父さんを知っているらしい。
そして、俺が天才弁護士である父の息子だという事も。
何故知ってるかが気になったので、一応聞いてみた。
「私の家は、幾つかの大手の会社を抱えている財閥でね。 その一つがトラブルに巻き込まれた事があって、その際に世話になったって、私の父が言ってたね。 その際にその人は息子がいるって言ってたよ」
父さん、しゃべったのか……。
深夜のテンションみたいな感覚で、プライベートな話はしないで欲しかった……。
父さんは天才弁護士だけど、こういう事が抜けてるからなぁ。
「というか、小梅崎さんは財閥令嬢なわけか?」
「うん、そうだよ。 さっき言ったように、私の家族が複数の大企業を抱えているからね」
「なるほどね……」
小梅崎さんは大企業の会社を複数抱える財閥一家の令嬢だったらしく、そのうちの一つの会社にて弁護士である父さんが関わっていたようだった。
しかし、校門をくぐった直後にまさか女子に、しかも令嬢に声を掛けられるとは思わなかったが、これも一つの出会いだと思っておくとしよう。
「さて、そろそろ入学式が始まりそうだし、まず振り分けられたクラスを見てみようか」
「おっと、そうだな……見に行くか。 確か昇降口だったな」
そろそろ入学式が始まるので、俺と小梅崎さんは振り分けられたクラスの名簿が貼られている場所である昇降口へと向かう。
もちろん高等部の昇降口だ。
「お、俺はA組か」
「私もA組だね。 クラスも君と一緒だ」
「みたいだなぁ……」
クラスは流石に別だと思ったが、一緒だった。
嫌という訳じゃない。
俺や小梅崎さん以外にも、多くの生徒がこの学校に入学するからだと思っていた次第だ。
「クラスも分かった事だし、体育館に行こうか」
「うん、行こう!」
小梅崎さんは嬉しそうな笑顔で俺と一緒に体育館に向かう。
席は男女別かつ五十音順に振り分けられていたので、流石にそこは彼女と離れたが、仕方がない。
クラスは一緒だし、ちょいちょい話せばいいかと思っている内に入学式が始まったようだ。
公立校では校長のポジションにあたる理事長がまさかの合法ロリの女性だった事を除けば、いつもの入学式だったと言っておこう。
何だかんだで入学式は終わり、各クラスのホームルームを行う為に教室に向かった。
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