10-5 文化祭  中立





 小嶋は席を立ち、聴衆に語りかけた。


「私は、自殺管理法を、

 安楽死法に、改定すべきだと考えます!」


 熱弁を振るい始めた。

 聞きながらスクリーンの各論を読んだ。



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  【中立派の主張】



 法律案に『特定の条件を満たした場合』

 と明記されている。

 それを、安楽死を認める条件にすべきである。


 安楽死とは法律で定義されておらず、

 広義に捉えることができる。

 以下に示す。




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 a 積極的安楽死

  (医師に致死薬を投与してもらう)


 b 消極的安楽死

  (延命治療をしない。尊厳死ともいう)


 c 間接的安楽死

  (終末期における、緩和ケアの措置で、

   死期がはやまるケース)


 d 自殺幇助

  (医師から与えられた致死薬を、

   自分で服用する)



 今回の議論においては、

 安楽死を、患者本人の意思により、

 自死する行為と定義する。




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  『安楽死が認められる妥当な条件』



 1 病死が避けられず、死期が迫っている。  


 2 耐えがたい肉体的な苦痛がある。


 3 苦痛を除去、暖和する方法が他にない。


 4 本人の明確な意思表示がある。

  

(四つの条件をすべて満たした場合に限る)




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  『欧米諸国が認めている条件の例』


 1 身体が自由に動かせない。


 2 医療器具をつけないと生きれない。


 3 認知機能が正常に働かず、

   普通の生活が送れない。


 4 悲劇的な経験をして、

   精神の病をわずらっている。


 5 一定の高齢に達したら、無条件で認める。

   老いることを、病と捉えるため。

  (例 六十歳以上など)



 これらを日本において認めるかは、

 慎重な議論が必要である。




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  『安楽死の合法化を求める理由』



 1 人生の終末期、

   本人の、

   死に対する決定権を尊重すべきである。


 2 近代医学の延命技術が、

   死にのぞむ病人の

   人間性を尊厳できていない。


 3 入院が長期になると、

   患者側の、経済負担が大きい。


 4 国家財政の医療費の削減のため。   


 5 日本は非合法のため、

   渡航して、

   安楽死をする人も増加している。





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