第05話 個性豊かな美少女スライム①
「ま、まぁ……色々確認したいことはあるが、取り敢えず服着ろ」
俺は三人の美少女の裸体を前に目のやり場に困っていた。後ろ頭を掻きながら視線を泳がせる。
「何を申しておるのだ若。服など持ち合わせておらん」
「た、確かに……なら、取り敢えずこれ羽織っててくれ」
青の少女に言われ、俺はアイテムボックスから三着の外套を取り出し、三人に投げ渡す。
それぞれが申し訳なさ程度にでも肌を隠したのを確認してから、俺は視線を戻す。
「で、なぜ擬人化してんの、お前ら?」
「それは、進化したからですね」
早速一番大きな疑問をぶつけると、それに答えたのは緑の少女だ。
「いや、スライムにこんな進化系があるなんて聞いたことないんだが」
「それはそうでしょう。今の私達は、言ってしまえばスライムの最終進化系――『アルティメット・スライム』とでもいうべき個体です。自然界でこの段階の進化に至るのは不可能と言っても過言ではありません」
「な、なるほど。だが、まだ疑問が二つほど……一つは、なぜ人型に?」
「そんなの、知能の高い生物は人型に寄っていくからに決まってるじゃない」
今度は赤の少女が答えた。
「一部のモンスター……例えばドラゴンとかの例外を除いて、知能の高い生き物ほど人型に近付いていくってことくらい常識だと思うんだけど?」
「い、いや、普通に初耳なんだが……」
そんなことも知らないの? と呆れた風に鼻を鳴らしてくる赤の少女。
テイムモンスターに舐められている主人――今の俺、何だか惨めだな。
ただ、そう言われてみると、確かになるほどと思うところがあった。
大抵本能で行動する獣型のモンスターより、ゴブリンなどの人型に近いモンスターの方が小賢しい。
「な、なら二つ目の疑問。なぜテイムしてたった一週間でここまで進化した……?」
そう尋ねると、三人は顔を見合わせて首を傾げたあと、代弁とばかりに青の少女が答えた。
「てっきり
「よし、新しい疑問が増えた。お前その言葉遣いマジでどこで覚えた?」
「はて?」
「自分でもわからないのか。ま、まぁいい……」
こんなでたらめな進化を遂げた奴らだ。今更言葉遣いなんかで突っ込んでいたらきりがなくなってしまう。
「話を戻すが、別に俺はそんなバフを掛けた覚えはないぞ? ってか、成長促進とかいうバフ聞いたことないしな」
「ほう。では、何ゆえ拙らはこうまで早く進化できたのだろうなぁ~?」
「俺が質問してるんだが……」
まぁ、わからないことをここで議論しても無意味だな。
とにかく今は、これからどうするかを考えなくてはならない。
「まぁ、詳しいことはゆっくり調べていくとして……取り敢えずはお前らの装備を整えないとな。主に服」
「別にそこまでしてくださらなくても良いんですよ?
そんな緑の少女の言葉に、俺はたまらずツッコミを入れる。
「お前らが良くても俺が嫌なの! 考えてみろ? 普通に考えて裸の少女を連れ歩いてる奴とかヤバすぎるだろ!?」
「そういうものですか?」
「お前らの羞恥心どうなってんだよ」
「取り敢えず人前で裸になるなってことね? りょーかい。でも、貴方よく私達の前で堂々と着替えてたじゃない。あれは良いのかしら?」
めんどくさいなと言わんばかりの表情で、赤の少女がそう聞いてくる。
「いや、流石にテイムしたモンスターの前で恥ずかしがる必要はないと思ってたが……まぁ、今日から話は変わってくるけどな」
着替えるから一旦外出てろ、と俺は三人の背中を押しやる形で、取り敢えず部屋から追い出す。
これからはアイツらの分の部屋も取ることにしよう。
そんなことを考えながら、俺はアイテムボックスから自分の着替えを取り出し、手早く出掛ける準備を整えた――――
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