第24話 夜の帳を裂くように
星空はいつ見ても僕が抱く感想が違い、懸かる星の導きを僕らは辿る希求があるのだった。
いつ見ても狐に包まれるようにその百花繚乱の美しさに惑わされ、僕は星の恋を慕っている。
冴える星々の徽章を丹念に拝礼すると、僕は今まで自分に降りかかった災厄が一瞬、どうでも良くなったような気がした。
聞く勇気もないが姫に化けた、清羅さんの話の出所がかなり怪しいのは言うまでもない。
凍て星を一通り見終われると、夕間暮れ、密かに発作的に瘴気に襲われ、その嵐の夜の帳を裂くように切った腕の傷がひりひりと痛んだ。
痛めつけたところ僕自身が強くなったようには無責任には感じなかったけれど、お守りみたいにこの星のナイフを常に持ち歩いていた。
学校に登校するときはさすがに家に置いてきたけど。
生きづらさが加速する夕轟、暗夜行路を向かいたくはないがために、危うく、ナイフの筋で指を怪我したときもあったし、試しに自分の手首を数本切ったときもある。
僕が死への誘惑のために向かった計画はしかし、無計画だった。
時々、唸るような、希死念慮と衝動性の両輪が沼地に曳かれた轍のように襲いかかるその日があった。
何本か、日焼けもしない、この白い腕に綺麗に引いた切り傷を見て、僕は僕がおかしくなったんだろうか、と思わなくもなかった。
自傷する少年なんて、少女的を愛好する、下手な耽美小説じゃあるまいし、強気と短気とはまるで、無縁なヤマトタケルだったように思えた。
切実な思想観念もなければ、目を見張るような剣戟の偉才もない。
誰が僕を木偶の棒ではない、と断定できるのだろうか。
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