第23話 真冬の星座


 玄冬に入った初冬、とても凍てつくように荒星が宙に懸かっていた。


 襤褸切れのような、ちゃんちゃんこを着ぶくれて一陽来復も目前に迫った、太陽から最も遠ざかったこの小夜中の丑の刻の時間帯は、余日の中でいちばん冷えているだろう、ときつく実感した。


 


 こんな音無しの灰色と化してしまった山里では、冬枯れの芝生の上には初霜が庭先にはもう、降りていたためだった。


 


 ザクザクと霜柱は水源で逆立ちでもするかのように大きく天下るように降りていた。


 もうすぐ、年歩む晦日なんだ、と思いつつ、歳月の速度にしみじみと僕は気ままに夢想した。幾年月星霜、一年が終わるのも早い。


 


 案の定、僕の内側から放つ、思春期特有のむせ返るような熱気はまっぴら、嘘のように冷めた。


 が、今度は逆に身体の軸ががくがくと凍えるように冷えてきて、思わず、派手にくしゃみをした。


 鼻水が少し品悪く垂れて、汚いけれど、リビングルームへ戻って、ティッシュで擦った。


 


 これで僕を追い回す汚穢も浄化されただろう。


 自室に戻ろうとして、真冬の凍て空を見上げると、いつもとは違った様相の星冴える空が晴れ晴れと見えてきた。


 真夏の熱風を孕んだ星々とは違い、冬空は凍てつく、ケチが付けようがない漆黒の闇空で、清廉たる真珠のように眩い栄光を放つ星が散らばったかと思えば、玻璃に滴った夜露の乱反射のように光っていた。


 寝る前に見ていた惣闇の凍て空とは様相が違う。


 


 夜明け前だからか、初夜で見上げた星座が違っていた。


 


 オリオン座がこの冬将軍が到来しつつある、時期は目立つのだが、当の本人の彼は空には滞在しておらず、代わりに蠍座の尾鰭が凍えた夜空を陣取っていた。


 相変わらず、目線を北上すると北斗七星があって、星夜の志向を導いてくれた。


 

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