異世界
「異世界に行きたい」
「おう、行ってこい」
また始まった。
定期的に訪れるメタ子のいつものアレだ。見聞きしたものにすぐ影響されるのだが、これが冗談では無くマジなのが怖いところである。
「アニメで見たんだ。この世界には別の世界があって、転生や転移で行けるんだって」
「とりあえずお前の頭の中が既に異世界だから還ってこい」
もっともメタ子の頭の中は異世界どころか亜空間と繋がっていそうだが。
「異世界で無双したい! 敵をバッタバッタと切り倒してハーレム作るの!」
「無双は知らんがハーレム作りたいなら連日コクッてくるそこらの男子で我慢しとけ」
「その辺は触れないで」
「あ、デリケート」
ふむ、男絡みは何故か繊細な話題らしい。
「それより転移と転生って何が違うの? どっちも異世界に行けるにしても、私には違いが分からなくて」
「……違いねぇ」
一般的には転移は生きたままで、転生は生まれ変わる事を指すと思うが私も詳しくは知らない。私はボッチで根暗だが、だからと言ってその手のジャンルに強いとは限らない。
じゃあ何系が好きかって? そりゃカードゲーム一択でしょう。もっぱらシャカパチやる系のウザい人ですハイ。
※シャカパチとは、手に持ったカードをシャカシャカパチパチさせる行為である。無意識に行う人も多いが、あまり度が過ぎると嫌われるぞ?
「ポケモンとワンピのカードってなんであんなに品薄なんだろうね」
「ねぇ私の異世界の話題は?」
「さぁ、異世界に飛んでったんじゃね?」
「なるほど」
「納得しちゃうんだ」
「えーとね、じゃあ私は異世界でケーキ屋さんでも開こうかな」
「そりゃ将来の夢だろう」
「ううん、チートでハーレムなケーキ屋さん!」
「どんなのだよ」
「ふっふー、私の作るケーキは全てゼロカロリーなのだよ」
「それは伊◯理論だっつの」
言いつつも、有れば食べたいゼロカロリーケーキ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます